外食産業が厳しい中でも好調なモスバーガー 多様性が武器に

コロナ禍で外食産業が厳しい状況に直面する中、2020年度上半期の国内モスバーガー事業について「全ての月で既存店売上高が前年同月比プラス」と報告したモスフードサービス。人々の〈食〉を支える責任を果たすべく挑戦を続ける同社の取り組みやビジョンを、社長の中村氏に聞いた。

1972年に東京・成増の地で、わずか2.8坪の小さな店舗からスタートしたモスバーガー。現在はモスフードサービスとして、モスバーガーをはじめ飲食事業を全国に展開、2022年には創業50周年を迎える。

危機に強い多様性

2020年は新型コロナウイルスの拡大で世界的に経済が冷え込み、外食産業も厳しい状況に直面。その影響は、いまだ続いている。代表取締役社長を務める中村栄輔氏は「コロナ禍は国内においては年度末くらいまでは大きな影響を与えるかと思います。加えて、インバウンドの減少については、2021年、もしくはさらに先まで続き、もう少し長いスパンで影響を受けるだろうと考えています」と話す。

中村 栄輔 モスフードサービス 代表取締役社長

こうした中、モスバーガーが、最も厳しかった2020年度上半期(4/1~9/30)において、前年同月比プラスの売上を保つことができたのは、その多様性に起因している。まず、販売形態がイートインとテイクアウト両方に対応している。店の形態もビルイン型店舗、フードコート、ドライブスルーと様々。そして立地に関しても繁華街やビジネス街から住宅地、郊外、地方まで幅広い。

「販売形態、店舗形態、立地の3つの点で多様性を持っていたおかげで、厳しい数字の店を他の店がカバーし、全体として前年比をクリアする状況になっています」。

コロナ禍のもと、各店舗では、メンバーの体調管理や消毒の徹底、店舗でのソーシャルディスタンスの確保はもちろん、セルフレジやネット注文の推進、テイクアウトの強化などに懸命に取り組んできた。

「モスフードサービスでは、コロナ禍以前から、喫食時品質を上げる取り組みに力を入れてきました」。

買った時ではなく、食べる時の品質を追求する。買ってすぐ食べるのがベストだが、持ち帰りで10分~15分経過した後も、おいしさを損なわないよう、商品づくりの工夫を積み重ねてきた。世界で認められる日本のおいしさとおもてなしを確立する、をミッションに、中期経営計画では"Nothing is impossible(不可能なことはない)"をスローガンとし、様々な施策に取り組むモスフードサービス。

「新型コロナの発生を、もともと中期経営計画でやろうとしてきたことをスピードアップさせる機会と捉え、災難ではなくチャンスにして、取り組みを加速させていきたいと考えています」。

新商品開発、異業種連携にも力

コロナ対策の一方で、新たな商品開発や異業種連携による新事業の展開にも力を入れる。創業以来、日本の食文化を活かした「テリヤキバーガー」、「モスライスバーガー」や、バンズ(パン)の代わりにレタスを使用した「モスの菜摘」など、独自性の高い商品開発を行なってきた。直近では、原材料に動物性食材を使わず、野菜と穀物を主原料に使った「グリーンバーガー」が話題となっている。

「おいしいものを作る、という発想に加え、いま世の中で求められているもの、世の中の動きに対してしっかりと応えていく、といった思想に基づき、商品開発を行なっています」。

異業種との連携では、2011年から日本航空(JAL)とコラボした機内食(国際線旅客機向け)を展開。乗客が自分で組み立てるハンバーガーの提供も行なっており好評だ。また、2019年には塩分を大幅に低減したハンバーガーを開発。日清医療食品が全国の病院・介護施設などで展開する食事サービスとして提供している。

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