天ぷらを軸に多角化 沖縄の中食業界でトップシェアを目指す
沖縄天ぷらで有名な「上間弁当天ぷら店」を5店舗経営し、沖縄ファミリーマートと提携して天ぷらを販売するなど、沖縄の飲食業界で急速に存在感を増している上間フードアンドライフ。飲食の枠にとどまらず事業の多角化を進めている同社の上間代表に、発展の経緯と今後の構想を聞いた。
仕出し料理に見出したチャンス
沖縄のソウルフード、沖縄天ぷら。白身魚やイカ、ゴーヤ、モズクなどの地元食材を使い、厚い衣にはしっかりと味がついているところが特徴で、地元ではおやつ感覚で食べられている。上間フードアンドライフは2019年11月から沖縄ファミリーマートと提携し、店内でホットスナックとして沖縄天ぷらを販売しており、現在330店舗で取り扱うまでに広がっている。
社長の上間喜壽氏は、「沖縄の食といえばタコライス、沖縄そばが挙げられますが、それらに並ぶように沖縄天ぷらの認知度を高めていきたい」と言葉に力を込める。同社の源流は、上間氏の祖父母が沖縄市のゴヤ市場で創業した刺身屋にさかのぼる。その後、扱う生魚のロスを減らそうと天ぷらの製造を開始。2002年に上間氏の両親が、祖父母からのれん分けを受け、「上間弁当天ぷら店」をオープンした。
上間氏が大学を卒業して家業を継いだのは、2010年のこと。ところが、卒業間近のタイミングで両親が弁当工場を建設したことに加え、税務調査による追徴課税が加わり、いきなり2億円もの負債を抱えることになった。
「両親も精神的に落ち込んでしまって、このままつぶれれば家族が暮らす家も仕事もなくなってしまう。自分が事業をやらざるをえない状況でした」と振り返る。
銀行と交渉し、資金繰りの目途をつけた上間氏がまず始めたことは、ひたすら経営書を読み込むことだった。昼間は弁当の仕込みから製造、販売、配達まで一通りの仕事をこなし、夜は経営の勉強に充てたという。
「その中で、うちの会社に応用できそうなことを片っ端から試していきました。そのうちに、自社の置かれている業界の状況が『多数乱戦型』であることに気づいたのです。沖縄には小さな弁当屋さんや総菜屋さんがたくさんあり、値下げ競争に陥っていました。それならば競争の少ない土俵で戦おうと考えて始めたのが、行事や法事に使う仕出し料理でした」
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