不動産情報共有推進協議会 不動産の公共的インフラを目指す

これまでデジタル化の遅れが指摘されてきた不動産業界に、新たな動きが起こっている。2020年10月には、様々な業界の事業者が「一般社団法人不動産情報共有推進協議会」を設立。各社が持つ不動産関連の情報を共有・連携させ、新規サービスを創出しやすい土壌を作る。

松坂 維大(一般社団法人不動産情報共有推進協議会(PROP) 代表理事)

2020年10月、LIFULL、ゼンリン、全保連、デジタルベースキャピタルは、事業者間の不動産情報の共有、連携のための情報インフラ構築を推進する「一般法人不動産情報共有推進協議会(PROP)」の設立を発表した。同協議会のミッションは「人々が住まいにワンクリックでアクセスできる世界を作る」。不動産に関連する情報を異業種間で共有することで、取引に関与する個人、法人、そして不動産関連事業者を含む全ての利用者に便益をもたらす、業界共用の公共的インフラの構築を目指していく。

不動産にIDを付与する

不動産は世の中に1つしか存在していないにも関わらず、その情報は様々な企業、場所に分散している。物件情報が様々なプレイヤーに点在し一元管理がされていないため、情報の正確性やリアルタイム性が不十分で、問い合わせても物件の空きがない(おとり広告)、事業者間で同じ物件を識別できず物件情報が重複して管理されている、修繕などの管理履歴が残っていないなど、様々な問題が発生している。

PROPの代表理事を務める松坂維大氏は「インターネットによって、不動産情報の流通量が爆発的に増加し、事業者・消費者の双方にメリットがありました。さらに次の段階を目指すために、物件の価値や存在そのものを一意に特定して使っていけるしくみが求められるようになってきています」と話す。

不動産取引では、正確で最新の情報が、安心安全かつ効率的な取引のために必要不可欠となる。ただしこれまで、そのようなデータを得るのは簡単ではなかった。

「不動産の調査・確認の作業に、宅建業者がかける時間、労力は大変なものです。情報を整理・保存するのはデジタルシステムの得意な所ですから、そうした役割はデジタルに負わせ、不動産会社は買い手のコンサルティングのような、人でないとできない部分の仕事に注力すべきかと思います。調査・確認のプロセスを経なくても不動産の売買、賃貸がやり取りできるようなデジタル化の世界を目指したい」。

こうした物件情報の理想を求めて、LIFLL、ゼンリンらが中心となり、2018年10月に、ブロックチェーン技術を活用した不動産情報の共有化を目的とした「ADRE不動産情報コンソーシアム」を設立。これが、PROPの前身となっている。ブロックチェーンを選んだのは、改ざんが困難でセキュリティが高く、かつ様々なプレイヤーが情報共有に参画できるシステムを作れるためだ。

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