損害保険ジャパンの新規事業開拓 社会的課題の解決で保険の先へ

損害保険ジャパンは、複数の新規事業で2020年半ばには100億円以上の利益を出すことを目指す。特に重視しているのはモビリティ分野で、2030年頃にも到来すると言われる自動運転時代に向け、市場を獲得するべく様々な新規事業に取り組んでいく。

「保険の先へ、挑む。」をブランドスローガンに掲げる損害保険ジャパン(損保ジャパン)は新規ビジネスの創出に向けて、社内にデジタル戦略部、ビジネスクリエーション部、ビジネスデザイン戦略部という3つの部を設置している。

「西澤敬二社長は、複数の新規事業で2020年代半ばには、100億円以上の利益を出したいと言っています。現在、損保ジャパンの売上の6割は自動車保険が占めますが、2030年頃に自動運転の時代が到来すれば、事故の発生はなくなり、売上は大きく減るでしょう。ですから、トップには強い危機意識があります」。

保険の新規事業は少額短期保険
会社の設立や防災・減災ビジネス

損保ジャパン執行役員でビジネスデザイン戦略部長を務める中村愼一氏は、新規事業推進の背景についてこう語る。ビジネスデザイン戦略部は新規事業を創出し、保険、介護に次ぐ新しい中核事業を創るための部署だ。中村氏はパナソニック勤務を経て2017年11月、現在のポストに就任。新規事業担当の役員として、7つの事業を立ち上げてきた。現在はそれら事業のうち、DeNA SOMPO MobilityとDeNA SOMPO Carlifeの代表取締役副社長、akippa(あきっぱ)の取締役を兼務している。

中村 愼一(損保ジャパン執行役員、ビジネスデザイン戦略部長)

7つの新規事業は、以下のようなものだ。まず、LINEと提携して2018年10月に立ち上げた「LINEほけん」だ。世界初のLINEアプリ上で加入完結する保険で、1分で入ることができ、トーク上で友達に贈れる保険も販売した。UI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)にこだわった簡単な保険加入体験を提供し、便利なインシュアテックサービスとして20代の若者にも受け入れられている。

2つ目は、少額短期保険会社の「My surance(マイシュアランス)」を設立して展開している企業からユーザーに保険をプレゼントする「リワード保険」や中古のスマホも対象にした「格安スマホ保険」、YAHOO!との「旅行キャンセル保険」がある。

3つ目は、米国シリコンバレーの人工知能(AI)ベンチャー、One Concernとの連携による画期的な防災・減災事業だ。AIを駆使した災害予防・減災のシステム構築に向けて、実験を開始している。また、保険を含めた企業向けBCP(事業継続計画)コンサル事業も展開していく予定だ。4つ目は、すべての事業の顧客IDを統一して顧客を「見える化」し、レコメンドを通じて売上を増やす「SOMPO Park」だ。

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