災害対策強化、インフラ管理DX、スマートシティ輸出などを所管
国土の開発と保全と、交通輸送に関連した業務ほか、幅広い分野を所管する国土交通省。これまでの防災・減災の緊急対策に続き、2021年度には新しく5か年のプロジェクトが始まる。現実の国土・交通の情報をまとめ、オープンに提供することで、社会に資するイノベーションを支援する。
世界中で自然災害の頻度は目に見えて増え、被害は大きくなっている。日本では、大雨や台風などある程度事前に予測ができる災害に加え、火山の噴火や地震といった突発的な災害にも対処しなければならない。
防災の5か年対策が始動
多くの事業を所管する国土交通省でも、防災・減災は2021年の重要テーマとなっている。2021年以降の施策の裏付けとなる後継プロジェクト、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」は2020年12月11日に閣議決定された。国土交通事務次官の栗田卓也氏は、「2021年度も、所管する各種インフラなどを対象に、防災・減災、国土強靱化の取組のさらなる加速化・深化を図っていきます」と説明した。
2020年度は、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の最終年度だった。この対策が始まった2018年には、広範囲で洪水などが同時に発生した西日本豪雨、関西国際空港を機能停止させた台風21号、そして北海道胆振東部地震と、多くの人命が失われる災害が相次いだ。2018年度から始まったこの3か年対策では、特に緊急に実施すべきインフラの整備やソフト対策を実施してきた。「全67項目を着実に実施し、対策を実施した箇所では土石流や冠水などの被害の防止につながっています」と栗田氏は振り返る。
緊急対策最終年度の2020年度は、2021年度以降の防災・減災、国土強靱化の取組について、議論を深めてきた。骨太方針2020では、緊急対策後も「国土強靱化基本計画に基づき、災害に屈しない国土づくりを進める」としている。災害を防ぐための様々な工事は計画から完成までに時間がかかり、完成後も機能を維持するためのメンテナンスが欠かせない。国交省に求められるのは、中長期的な視野に立った継続的な防災・減災、国土強靱化への取組だ。
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