農水省で強化する輸出とグリーン化 スマート農業も導入進む

農林水産省は2020年12月、今後の農政のグランドデザインとなる「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂した。少子高齢化が進み、国内マーケットの縮小と人材不足が深刻化する中、〈輸出〉と〈グリーン化〉を重要テーマに、様々な農業の現場の〈スマート化〉を推進する。

「人口が減っていく中、農業界においても人手不足が深刻化しています。それが、政策を考える上で重要なポイントになっていきます」と話すのは、農林水産省総括審議官の青山豊久氏。

青山 豊久(農林水産省 総括審議官)

人手不足が深刻化する中、国内農業の生産基盤を強化するためには、現場の〈スマート化〉を推進していくことが不可欠だ。

「地域の課題を先端的なスマート技術で解決しながら、生産性を高め、需要に合わせた生産をしていくことが必要です」。

農水省では、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用した「スマート農業」を実証し、その社会実装を加速させる事業として「スマート農業実証プロジェクト」を進めている。同プロジェクトでは、スマート農業技術を実際に生産現場に導入し、2年間にわたり技術実証を行なうと共に、技術の導入による経営の効果を明らかにすることを目的としている。2019年度から開始し、現在、全国148地区で実証が進む。

実際にスマート技術を導入した水田での効果としては、「ロボットトラクタやドローンにより、稲作の労働時間が全体で約1割削減した」、「農薬散布ドローンでは約8割、自動水管理システムでは約9割の労働時間が削減できる」と報告されている。

スマート農業の適用範囲は幅広い。写真左はAGRIST(宮崎県新富町)の自動収穫ロボ、右は農研機構などで開発が進む自動田植機

「スマート農業において、ロボットトラクタなどは導入コストが高いという問題があるため、シェアリングやリース、レンタルなどでコストを削減する方向で解決策を探っています。全国148の実証地区でも、標高差を使って1つの機械の稼働期間を長くする岡山県真庭市の実証や、建設機械と農業機械をタイムシェアリングする石川県白山市の実証など、面白いシェアリングをしている地域がいくつかあります」。

農業の外側の技術が必要

農業のスマート化においては、農機の高度化も重要だが、もっとも重要なのが経営管理ソフトだという。農業人材の高齢化や人手不足が進む中、若めの担い手に農地が集まる傾向にある。どの農地で、いつ、どんな作業をしたのか、また、次にどの農地で作業が必要なのか、そうしたことを効率良く管理するのに経営管理ソフトは欠かせない。

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