地域への経済効果も期待、洋上風力発電の可能性

「再エネ海域利用法」に基づき、長崎県五島市沖など4カ所が洋上風力発電の促進区域に指定された。再エネは分散型社会において重要な電源であり、海に囲まれた日本のポテンシャルは大きい。部品産業やメンテナンスなど裾野産業も多く、地域経済への波及効果も期待されている。

山本 慎一郎(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 課長補佐)

地域への経済効果も期待

2018年7月に閣議決定された国の「エネルギー基本計画」では、陸上風力発電の適地が限定的な日本において「洋上風力発電の導入拡大は不可欠」とした。また、同年12月には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が成立し、昨年4月に施行された。

多様なエネルギー源を組み合わせて電源構成の最適化を図るエネルギーミックスでは、2030年度には再エネの比率を全体の22~24%に高めることが目標となっている(2018年度は16.9%)。一方、風力発電の比率は2018年度には0.7%(390万kW)で、2030年度にはこれを1.7%程度(1000万kW)にする目標が立てられている。

とりわけ、洋上風力発電は①大量導入、②経済性確保、③経済波及効果という3つの点で期待され、再エネの主力電源になり得るとみられている。「大量導入」に関しては、欧州を中心に世界各地で導入が拡大している。現在、国内では4発電所5基(1.4万kW)にとどまっているが、日本は四方を海に囲まれており、今後は大量導入も可能とみられる。

「経済性確保」に関しては、欧州ではすでに落札額が10円/kWhを切る事例や、補助金がない市場価格となる事例も出ている。さらに風車の大型化などを通じ、今後もコスト低減が進む見込みだ。「経済波及効果」では、洋上風力発電設備の部品数は1~2万点と非常に多く、1つの発電所の事業規模が数千億円になることもある。このため、関連産業への波及効果は大きく、立地地域への経済効果も期待される。

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