オーガニックコットンの先駆け 良質な綿製品で地球と社会を幸せに

途上国における労働力搾取や、素材の化学繊維が海洋汚染の一端となるなど、ファッション産業が環境や社会に大きく悪影響を及ぼすと言われる現代。人の肌に優しく、環境保護にもつながるオーガニックコットンを軸に展開する事業の理念とは。

奥森 秀子(アバンティ 代表取締役社長)

顔のみえるものづくり
つくり手第一の「四方良し」

アバンティの設立は1985年。1990年に日本でまだ知名度の低いオーガニックコットン原綿の輸入販売を開始した。事業をスタートして以来、糸と生地の生産、その生地を使った製品づくりまで、全て日本国内で行っている。「少数精鋭の小さな企業が一気通貫で担っている。日本はもちろん、世界でもまれな会社」と語るのは、代表取締役社長の奥森秀子氏だ。

事業を支える企業理念の原点は「敬天愛人」だ。「言葉の通り、人として天を敬い、天が人を愛するように人を愛する」と奥森氏。さらに経営理念には、全てのオーガニック製品を通して地球環境保全と社会貢献をする。行動基準には、社会倫理および、関わるすべての人々が利益を分かち合う「四方良し」の精神を実践する。

創立者であり、現在の代表取締役会長である渡邊智惠子氏は、「会社は昼間の家である」という言葉をよく口にするという。これは、昼間、働いている間は皆が家族であるという意味だ。理念を毎朝全員で唱和し、お茶入れや社屋前の掃除も欠かさず行う。

近江商人の心得、売り手良し、買い手良し、世間良しの「三方良し」につくり手良しを加えた「四方良し」という行動基準について奥森氏は、「三方には、作り手が入っていません。私たちは、つくり手を、それも一番に入れました。なぜなら、私たちの事業はつくり手のみなさんあってこそ成り立っているからです」と説明する。

2016年から取組期間の始まったSDGsも、「私たちはすべてのものづくりにおいて、いかに地球にダメージを与えず、誰かを犠牲にしていないかを考えて事業を行ってきました」。その言葉を盛んに耳にするようになった今、「アバンティが企業理念のもとに行ってきたことに間違いはなかったと、改めて感じます」と奥森氏は話す。

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