2020年3月号

MPD発の新規事業

「五方よし」を実現する会社に PRの力で地域活性化を促進

亀岡 勇人(マッシュアップ 代表取締役)

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広告業界での幅広い経験から「地方創生こそ自身の取り組むべき課題」と自覚。業界で培ったデザイン思考に大学院で学んだバックキャスティングの視点を加え唯一無二のアプローチで社会的な課題解決に取り組む事業構想家の現在を聞いた。

亀岡 勇人(マッシュアップ 代表取締役)

広告業界のプロとして
地方創生への貢献を意識

流通系の広告代理店を経て、2002年からセールスプロモーション(SP)広告企業の経営に携わってきた亀岡氏。大手企業からベンチャーまで幅広いクライアントのプロモーション企画を手掛けるなかで、地方自治体からの依頼案件にも関わり「地方創生こそ自身の取り組むべき課題だ」と認識するようになる。

「私自身は地方出身ながら、社会人としては首都圏で企業経営に携わっており、故郷への直接的な貢献ができていないという後ろめたさがありました。こうした個人的な存在次元をモチベーションとしつつ、職業上の存在次元として、人口減少や少子高齢化をはじめとした地域課題にプロモーション業界で培った専門的ノウハウを活かしたいと考えました。とりわけ地方創生という未曾有の社会課題、およびそれに派生する社会貢献性ある新規事業開発に、体系的な学びをベースとして取り組む必要があると考え、事業構想大学院大学への入学を決意しました」

そして、亀岡氏は入学後、地方創生にも事業としてのチャンスがあると実感を強くする。機を同じくして、学業と並行して地域とコラボレーションする事業を扱うことが増え、求められる広告手法の違いに気づく。例えば、地域の特産品を基にまちの魅力をアピールする案件では、「マスに認知を高めるだけでなく、コアなファンを増やす」アプローチ手法が求められた。

「マーケティング・広告業界に携わってきた経験から、訴求対象をペルソナで措定して、それに相応しいメディアを選ぶことは身に付いていました。私の場合、その意味で、もともとビジネス上の素養としてのデザイン思考は有していました。更に大学院に進学してバックキャスティングを体得したことで、シティプロモーションに不可欠な手法を編み出す素地が自分の中にできました」

修了時に提出した事業構想計画書のテーマは「シティプロモーションの構想計画」。単発の施策で終わりがちな点と点のつながりではなく、コミュニケーション戦略を起点に有機的に広がるつながりをつくれないか、という課題意識から発想した。「人と地域」「地域と世界」「想いとアイデア」を有機的につなげるべく、プロジェクトに参画するメンバーがそれぞれの暗黙知を共有・表出することで目標をビジュアル化し、地域の魅力を発信でき、社会の持続可能な発展に貢献できるシティプロモーションの方策を探った。

具体的かつ包括的に取り組んでいる地域課題は、秋田県羽後町の人口減少克服に関する事例、震災復興の分野では、福島県の国家プロジェクトに対する交流人口拡大支援、長野県の福祉施設における就労拡大を実現するための農福連携商品開発事業、そして兵庫県養父市の特産品ブランディング支援である。いずれのケースでも、地域の理想の未来をデザインし、目的と手段を明確にしたうえで、施策をまとめ、戦略を策定していくという手法は一貫している。

「大学院での学びは、正確なフィールドリサーチの重要性を認識でき、また先生方や同級生からは顧客視点でのクリティカルな意見を受けられ、構想の実現可能性を高めるうえで有益でした。指導教員であった岸波教授をはじめ、よく『思い入れと思い込みは異なる』と指摘されましたが、教員や同期生とのディスカッションを通じ、思い込みを排し、思い入れに沿って構想を軌道修正することができました」

2018年度には実務家教員として、事業構想大学院大学が主宰する公民連携プラットフォームである「シティプロモーション研究会」を担当した。「自ら教壇に立ち指導する経験を通じて、コンサルティングレベルにまで事業構想の精緻化が進みました。また、本学での教員経験が基になり、埼玉県朝霞市でのシティセールス・ブランド検討委員会の委員長を拝命する機会も頂きました」

目標のビジュアル化| 地域と世界を有機的につなげる構想案

理想の未来を実現するために
新たなカンパニーを創業

2019年10月、亀岡氏は、それまで経営に関わっていた5社の役職を退任し、株式会社マッシュアップを創業する。代表を務めていた株式会社フラクタルからソーシャル事業の譲渡を受け、自身の「やりたい事業」を実現するうえで最良な組織を目指したという。

理想の未来をデザインするカンパニーのポジショニングマップ

 

音楽のリミックス手法であるマッシュアップを社名に、日本企業の伝統的な商業道徳とされる「三方よし」に、未来よし・会社よしを加えた「五方よし」で、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」などの社会課題をテーマにした事業展開を目指す。

「広告と販促を軸に象限をとって見たときは、総合広告代理店や大手印刷会社がひしめくレッドオーシャンですが、SDGsに代表されるような社会課題解決のための目標を軸に見たとき、当社に圧倒的な優位が生まれます。この強みを活かして、メーカーの製品プロモーションから、自治体のシティプロモーションまで、幅広いコンサルティングを手掛けていきます」

創業間もないとはいえ、これまでの豊富な経験を基に、幅広いクライアントを対象とした事業展開は変わらない。

「今後は大学院での学びや実務家教員としての研鑽を基に、積極的なアウトプットを行い、市場からの反響を踏まえて、スキルを精緻化していきたいと思います。日本にはこれまで連携させていただいた地域以上に、一層本質的な課題解決を必要とする地域が数多くあります。社会起業家としてのスピリットを持ち、理想の未来をデザインする会社で社会を動かしていきたいと考えています」

 

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