antenna*運営に学ぶ、事業構想を考える上で重要な要素

上場経験者の現役社長が
事業構想の実践論を講義

事業構想大学院大学では、通常の講義期間(前期、後期それぞれ4カ月)以外の夏季や春季の休暇期間中にも、短期集中型の講義を数多く開講している。「事業構想特論」も短期集中型で5科目が開講されている。

東京校で9月に開講された「事業構想特論Ⅰ」(杉本哲哉客員教授)は、院生が構想した事業アイデアを、計画だけにとどまらせることなく、実際に社会の中で「実践できる力」を身につけることをテーマとした講義だ。担当教員の杉本哲哉客員教授は、早稲田大学卒業後、リクルートでの勤務を経て、リクルート時代の仲間とともに、ネットリサーチの草分けであるマクロミルを創業し、東証マザーズを経て東証一部へ上場させた経験を持つ。現在はキュレーションサービスのantenna*を運営するグライダーアソシエイツの代表取締役社長を務めている。

4回シリーズの講義では、一般的なサラリーマンの家庭に生まれ育った杉本氏がいかにして会社員としてのキャリアを積み、そして起業に至ったか、起業してオーナー社長の立場になって、はじめて気がついたことや知ったこと、失敗したことなど、自らが経験してきたことが率直に語られた。また、リーダーとしての悩みや求められる資質など、実際に起業したり、新規事業を立ち上げる中で経験する事柄について、自らの経験に基づいて講義があった。

また、事業構想を考える上で重要な要素として、伸長する産業、斜陽する産業を見抜いていくこと、事業の発展や存続のファクターを学ぶことの重要性についても触れられた。

院生は、現役の経営者である杉本哲哉客員教授の講義を通して、事業に対する姿勢や情熱、向上心に直接触れて大いに刺激を受け、これからの構想構築とその実現に向けて、モチベーションが上がっていた。

杉本哲哉客員教授(グライダーアソシエイツ 代表取締役社長)が夏季集中講義を行った

 

院生の声

「やり遺し」を記憶遺産に
最後のやり遺し・旅企画

松原 東吾(まつばら・とうご)
PHC バイオメディカ事業部
大阪校2期生(2019年度入学)

起業を通じた社会貢献の可能性を考える中で、偶然に本学の広告を見たことが入学のきっかけでした。仕事との両立は確かに大変ですが、大変さを補って余りある充実感があることも確かです。実際、日々事業構想に没頭できる環境は魅力的ですし、先生も企業で経験を積んで来られた方が多く、講義も毎回多くの「気づき」があり、楽しみにしています。また、院生も志が高い方ばかりで何でも気軽に相談し合っています。

そんな私は現在、緩和ケア施設患者とその家族に向けた事業を構想しています。ツーリズムを通じて人生の「やり遺し」を循環させ、共通の思い出を「記憶遺産」として相続してもらうものです。患者とその家族を助けたい、という想いに基づくものですが、未成熟だと自覚しています。あと1年半の大学院生活で内容を深め昇華させたいと考えています。

自由な発想から
新しい価値を生み出す

榊原 朱依子(さかきばら・あいこ)
氷感サプライ 営業開発部長
名古屋校1期生(2019年度入学)

今後、事業承継し存続させていくためには経営学を学ぶ必要があると考えていましたが、変化する現代の世の中では新しい価値を生み出し続ける必要があると同時に感じており、それらが両方学べるということで迷いなく、本学に入学を決意しました。

会社では生鮮食品を生のまま長期に鮮度保持ができる「氷感庫」の設計施工・販売を通し、生鮮食品を工業製品のように在庫で持てる環境の構築を進めています。

2019年8月度「野菜ソムリエサミット」にて、氷感庫を活用した農園が「零熟インカのめざめ(ジャガイモ)」でサミット史上初の最高金賞を受賞しました。野菜を保存・熟成し、新たな価値の創造に成功しました。これは弊社の提供するコールドチェーンの事例で、新鮮な野菜果物はもちろんですが、保存された野菜果物はさらに価値を生むという事例です。このような新しい食文化の提案は食品ロスをなくす効果的な方法と考えます。

本学に通い、先生方や周りの院生の意見やアドバイスも得て、自由に発想してよいということ、そして発想する楽しさに気付きました。現在は生花への保存技術の応用を進めるなど、日々新しいことに挑戦しています。