東京を持続可能な観光地に 観光客の身になった海外向け情報発信

「世界から選ばれ続けるTOKYOへ。」を掲げ、ネットを活用して観光客の誘致に取り組む東京観光財団。限られた人員で多くの訪問者を呼び込むべく、アウンコンサルティングのサポートなども得ながら、中長期視野で安定的・継続的な成長を目指し、プロモーションに取り組んでいる。

田所 明人 東京観光財団 観光事業部次長

過去5年で日本の観光産業は大きく成長した。観光業は、地元の経済を支え、若者が働く場ともなる、地域にとって重要な存在だ。しかし、特に海外からの旅行者を誘致するための情報発信では苦労している地域が多い。

東京観光財団は都内の民間と行政の橋渡し役として、東京都、東京商工会議所、民間企業、地域観光団体が連携し活動している。アジア向けデジタルマーケティングでは、アウンコンサルティングの協力なども得て、旅行者の誘致、観光情報の発信など東京の観光振興に向けた多様な事業を推進する。

東京への外国人訪問客を増やすためのプロモーションツールの1つが、同財団が運営する東京の観光公式サイト「GO TOKYO」だ。実は、同財団が運営する主要な観光プロモーションサイトはもう1つある。東京ブランド公式サイトの「Tokyo Tokyo」だ。観光事業部次長の田所明人氏は、「AIDA(認知・興味・欲求・行動)で言えば、『Tokyo Tokyo』はAとIを担います。そこでは今まで旅行先としてあまり東京を考えていなかった人たちに対してまず認知してもらい、興味を持ってもらうためにイメージ訴求型の情報を載せています。これに対し『GO TOKYO』は興味を持ってもらった人たちに対して旅行を計画する際に具体的な情報を取得してもらう場として位置付けています」と説明する。

サイトを二つに分けるメリットについては、「ブランドストーリーを自由につくれる」一方で「『Tokyo Tokyo』から『GO TOKYO』へと必ず遷移してもらえるかというとそうではない難しさがあります」とも語る。

2つのサイトは成熟の段階も異なっている。日本語と英語に対応している「Tokyo Tokyo」に対し、「GO TOKYO」は、9言語10種類に対応しており、幅広い旅行者ニーズに対応した情報発信という目標に向けて、3人の財団職員による発信力を磨いている段階にある。「一番の目的である訪問客の増加につなげるため、タイムリーなコンテンツを継続的に発信していくとともに、『Tokyo Tokyo』からの遷移プラス自然流入を増やしていく仕掛けを作っていかなければならない」ことを課題として挙げ、「こうした課題を解決していくためにも外部事業者の協力が欠かせません」と話す。

財団が主導しつつ得意分野を分担

どこまでを同財団で主体的に担うかについては「デジタルマーケティングといってもデジタルはあくまでも手段であり、根幹のマーケティングは普遍的なもの。訪問客数を増やすという目的に対して責任を持つという意味でも、サイトの全体の方向性、目標設定、機能設定といった全体的なマーケティングについては我々財団職員で取り組んでいます」。

そのために内部でマーケティングなどの専門家を招いて勉強会を開いているほか、外部のセミナーなどにも積極的に参加しているという。「そのうえで集客のための戦略を策定し、シミュレーションを行ってどのような情報をどのようにして発信していくかについては外部にサポートをお願いしています」と役割分担について説明する。

集客における戦略では、「いたずらに数を増やすことを目的にしてはいるわけではない」と田所氏。「日本を訪問する外国人観光客数は過去年率10%の勢いで伸びており、オーバーツーリズムのリスクは常に念頭に置いておかなければなりません。急激に観光客を増やすのではなく、安定的かつ継続的な成長をすべての施策において考えています」。

「GO TOKYO」の運営においても、地域的なバランス、それぞれの地域に対するアプローチの手法も含め適正な進捗管理を重視。「アウンコンサルティングは国・地域ごとに異なるツーリズムの最新情報を常にアップデートしているので引き出しが豊富。当財団の意図を理解しながら様々な提案をしてもらえることがありがたい」という。

財団では当面、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、すべての国・地域に向けて広く網をかけた情報発信に注力する。ただ、訪日観光客の近年の動向をみると、リピーターに関しては地方指向が強まり、東京を訪問しない観光客も増えつつある。

そうした変化をふまえ、「ファーストカマーはもちろんリピーターにいかに東京に来てもらうかを考えています。それぞれの国・地域に焦点を当て、そこで今何が求められているのか、ビジネス客なのか、東京の文化が好きなのかなどを見極めきめ細かくマーケティングに取り組んでいきたい」と今後を見据えている。

観光クラスターのすそ野を拡大

同財団が、自身の役割の中でも重視しているのが、賛助会員に対する情報提供とネットワークづくりだ。「海外の観光産業クラスターを構成している企業は農家やレストランなど業種、業態が非常に幅広いのに対し、日本のそれは観光ど真ん中の企業からあまり広がっていません。観光産業はさまざまな業種、業態の企業にとって恩恵があるのだという理解を広く知ってもらいすそ野を広げていかないと観光産業の未来はない」と警鐘を鳴らす。

そこで賛助会員であれば無料で参加できるセミナー、ミーティングを月一回のペースで開催。落語家のスウェーデン人、銭湯大使に任命されたフランス人女性を呼んだり、日本の魅力を伝えるアジア人ユーチューバーなどを招いて話を聞く機会を設け、観光ビジネスのヒントを学んでいる。

さらに、会合の際は賛助会員による情報発信タイムを設けるほか、「交流の場から、参加者同士が結び付いてビジネスにつながっていけば」と会員の懇親の場となるビジネス交流会や商談会などを開いている。海外からの旅行者誘致は、会員のビジネスチャンスを増やすうえでも重要なテーマなのだ。

東京観光財団では、賛助会員にネットワークづくりの機会を提供している

アジアに展開するアウンコンサルティング

アウンコンサルティングは、アジア8カ国・9拠点に展開するマーケティング企業だ。特に多言語によるウェブ広告やSEO を得意としている。国内の観光地が、多言語対応の美しいウェブサイトを構築しても、それぞれの国の人々に見に来てもらうのは簡単なことではない。アウンコンサルティングでは、各拠点のネイティブメンバーのネットワークを活かし、きめ細かいデジタルマーケティングを可能にしている。

例えば、国ごとに旅行シーズンは異なる。国民の好みも国ごとに違い、タイでは派手なデザインのウェブサイトの方が受け入れられやすく、英語とタイ語の併用にも抵抗が少ない。またウェブ検索する際の特性の、国ごとの違いもアウンコンサルティングでは把握している。ベトナム語では、濁点の有無で異なる言葉と認識されることから、検索結果に差が出てくる、といった具合だ。

海外の訪日客の細かいニーズや要望を把握することで、最も適したタイミングで、日本の観光を楽しんでくれる潜在顧客にアプローチできる。アウンコンサルティングは、マーケティングのプロとして、様々な自治体の顧客に対し、有効なウェブマーケティング施策を提供している。

 

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