上場企業アンケートで見えた 新規事業の「壁」を超える経験知

上場企業に対するアンケート調査で見えてきた、各社の新規事業への取り組み。各社は、自社事業とシナジーがあり、持続可能な社会に貢献する新規事業を模索している。様々な取組をしつつも、これまでの新規事業の結果に満足していない企業が半数を超えた。

月刊事業構想編集部は、2019年3月、初めての試みとして、上場企業各社が取り組む新規事業について、網羅的なアンケート調査を実施した。郵送とウェブによる調査で、51社の新規事業担当者から回答を得た。

図表1 各社が取り組む新規事業

(回答を編集部で抜粋)

 

新事業で社会に正のインパクトを

既に立ち上げた、あるいは現在立ち上げ中の新規事業の名称・概要については、記述式で回答を寄せていただいた。この中では、ローソンやSOMPOホールディングスが既存事業を発展させて新規事業につなげている。テクノロジーに注目した新規事業例も目立つ。例えば、三菱総合研究所と丹青社は、それぞれ独自の切り口でブロックチェーン技術を活用した事業を検討している。

食料生産、ジェンダーの平等、環境に配慮した新素材、高品質な教育など、持続可能な開発目標(SDGs)に合致した新規事業も多く見られた。新しい事業を開始するにあたっては、社会に良いインパクトを与え、自社の価値を向上させるプランが採用される傾向があるようだ。

新規事業を構想する上で、社内リソースをいかに活用しているのか、既存事業とのシナジーはどうかについての質問では、多くの企業が「既存事業とのシナジーを重視」と回答した。ただしその「シナジー」は企業外から見て明確に見えるものだけではないようだ。飛島建設は、建設業で培ってきたマネジメント能力を、異業種連携の場でも生かすことを目指している。ポーラ・オルビスホールディングスのように、共創の対象となるスタートアップの成長と共に、両社のシナジー効果が増すと考える企業もある。

図表2 新規事業に活用している社内の資源

(回答を編集部で抜粋)

 

社内を巻き込む仕組みが必要

項目選択式の調査の結果は次ページに掲載した。新規事業担当者を対象としたアンケートということもあり、回答していただいた企業にはすべて、何らかの形で新規事業専門部署があった。ただし、専従の担当者の数は1〜5人の企業が大半で、小規模の組織が主流といえる。

新規事業のために取り組んでいる施策としては、外部との連携や出資が最多となった。また、中期経営計画や事業ビジョンに新規事業開発を重要課題として位置付けている企業が、回答企業の半数以上を占めた。社内提案制度や社内ベンチャー制度・社

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