外国人の医療受診を遠隔で通訳 医療費未収をITで防ぐ

在留外国人、訪日観光客の増加に伴い、日本で治療が必要になる外国人が急増。それぞれが母語で医療を受けることを可能にするのが、メディフォンの遠隔医療通訳サービスだ。外国人による病院での未払金の問題も、院内の体制整備とICT導入により解決を目指す。

澤田 真弓(メディフォン 代表取締役 CEO)

旅行で日本を訪れた外国人が体調を崩したり、日本在住の外国人が病気になったりした時、最も困るのが病院でのやり取りだ。症状や身体に関する医師との対話だけでなく、診察の申し込みから医療費の支払いまでの、一連の事務手続きもある。

外国人患者の受診は、病院側にとっても悩みのタネになっている。言語の問題で診察・事務手続きに時間がかかるため、そのしわ寄せが他の患者や職員に行く。診察費の未払いの問題もある。2018年度に厚生労働省が全国の病院に実施した調査によると、2018年10月の1カ月間だけでも、約半分の病院が外国人患者を受け入れていた。このうち約2割の病院で、未収金が発生していたという。

政府が2020年の訪日外国人旅行者数4000万人を目標として掲げる中で、医療側の受け入れ体制の整備は発展途上だ。しかし、万一の際に医療にアクセスできない国が、多くの人にとって魅力的な旅行先・働き場所になることはない。ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックを前に、外国人医療の体制整備は喫緊の課題となっている。

電話を介した医療通訳を事業化

メディフォン(東京都港区)では、外国人向けの電話・IT端末を用いた遠隔医療通訳サービスと、そこから派生した医療費未払い防止システムを提供している。活動を開始したのは2014年。

「メディフォンを立ち上げた時に考えていたのは、医療通訳者を『職業』とし、医療通訳を対価を支払って受けるサービスとすることでした」と、メディフォン社長の澤田真弓氏は話す。

医療通訳には、それぞれの言語の知識に加え、医療の専門用語の知識と、医学の進歩に合わせた不断のアップデートが要求される。しかし、澤田氏は、多くの医療通訳がボランティアだったり、別の仕事と掛け持ちしながら医療通訳を引き受けたりしているのを目の当たりにしていた。

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