2019年5月号
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新規事業の「壁」を越える

デンソー 「0→1」を生み出す人材を育成、巨大企業に一石

デンソー 価値創造プロジェクト

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連結の売上高が5兆円、従業員数が16万8000人を超える自動車部品メーカー、デンソー。その巨大企業において、10年後のリーダーを育成するプロジェクトが始まっている。その背景には、「時代の変化とともに、今の強みが弱みになりかねない」という危機感がある。

萩原一彦 デンソー 技術開発センター 価値創造プロジェクト統括

2017年4月、デンソーで社内人材の発掘や育成、起業体験プログラムなどを提供する「価値創造プロジェクト」がスタートした。それは、もともと社員有志による自主的な取り組みだったが、現在は公式の活動になっている。

価値創造プロジェクト統括の萩原一彦氏は、従来の人材育成とは異なる取り組みが求められた背景について、こう語る。

「自動車業界を取り巻く環境は激変しています。電動化により、内燃機エンジンは2024年をピークに減少し、部品点数は減少すると言われています。また、産業構造が垂直統合から水平分業に変わり、異業種からの参入機会が拡大し、他社と連携する必要性も増しています。さらに、消費者の価値観も多様化しており、クルマを所有せずに必要な時に借りるという利用形態も増えている。自動車業界が100年に1度の変革期にある中で、今までにない発想や企画力で事業開発ができる人材が必要になっています」

「自動車への依存」から脱却へ

例えば欧州の自動車部品メーカー、ボッシュの売上高に占める自動車分野は6割程度。一方のデンソーは、売上高の約97%が自動車分野だ。萩原氏は自社の課題として「自動車への依存」や「過度の専門化」、「請負体質」を挙げる。

「主要事業に仕組みが最適化されているため、時代の変化とともに、今の強みが弱みになる恐れがあります。また、全体を分かっている人が少ない。分業化により業務範囲が狭く、効率優先のオペレーション思考になる傾向も見られます。さらに、自動車メーカーの仕様書に基づいた開発が中心ですから、自分たちで新たに企画する機会が乏しいことも課題です」

価値創造プロジェクトのメンバーの1人である伊藤義人氏は「デンソーは10→100は得意で、そこで大きな収益をあげていますが、これからは0→1の人材も必要」と語る。

伊藤義人 デンソー 技術開発センター 価値創造プロジェクト / デザイン部(兼)担当部長

伊藤氏はデザイナーであり、デザイン部長時代の2014年には、デンソーとデンソーウェーブの共同開発による「医療医薬用ロボット」がグッドデザイン賞大賞を受賞した。

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