2019年5月号
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新規事業の「壁」を越える

東大MOT教授が説く、企業の外部連携は1対多のコラボへと進化

元橋 一之(東京大学 大学院工学系研究科教授)

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新規事業やイノベーションを起こす手法として注目されるオープンイノベーション。日本でも多くの企業が取り入れているが、長く自前主義のクローズドイノベーションを得意としてきただけに、うまくいかないケースも多い。オープンイノベーションにおける企業の現状と課題、将来の見通しとは何か。

元橋 一之(東京大学大学院工学系研究科 教授)

自前主義からの脱却目指す
オープンイノベーション2.0

自社と外部のアイデアを組み合わせ新しい価値を創り出すオープンイノベーションの概念は、1990年後半に米・ハーバード経営大学院の教授だったヘンリー・チェスブロウ氏が提唱してから、約20年が経つ。

元橋一之教授は、「日本におけるオープンイノベーションには、3つの大きなフェーズがあると思っています」と話す。

オープンイノベーションには技術を取り込むこと(イン)と、出すこと(アウト)の2種類がある。オープンイノベーション1.0のフェーズで最初に日本の大企業が飛びついたのは、『自社内の知財を棚卸し、必要ないものは外に出そう』という考え方だった。

ただ、知財そのものの価値はさほど大きくはならない。特に大企業がターゲットとしている何千億円のマーケットに対し、特許のライセンスは1個数千万円の額に過ぎない。さらに、売るには手間がかかる。「そういう意味で、第1次のオープンイノベーションは期待外れに終わったのが正直なところだと思います」(元橋教授)。

続くフェーズ2は、世界における競争が激化する中で『これまでの自前主義で大丈夫か?』という危機感から生まれた。外にある技術を取り入れ、非常に速いスピードでイノベーションを起こす韓国や中国の企業が、飛躍的な成長を遂げていく。

そうした中、日本の大企業でも、アウトサイドインのオープンイノベーションが広まった。オープンイノベーション2.0時代の到来だ。

「日本の大企業がオープンイノベーションの専門部署を作り出したのが約10年前。今では、大企業がベンチャー企業などから尖った先端技術を取り入れることは、当たり前になってきています」(元橋教授)。

オープンイノベーションが当たり前の時代になった一方で、実際にうまくいっているケースは少ない。

多くの大企業は内部に研究開発部を抱えており、外部からの技術を持ち込むことに対する嫌悪感が強い。さらに、企業内の事業部ごとのサイロ化により、企業全体のメリットではなく各事業部のパフォーマンスを上げようとする傾向があり、内部調整が難しいことも、オープンイノベーションの妨げとなっている。

フェーズ(段階)別に見たオープンイノベーションの変遷と特質

元橋一之氏インタビューを基に編集部作成

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