2019年4月号

クールジャパン実践プロジェクト

クールジャパン地域プロデュース 人材養成教育プロジェクト

青山 忠靖(事業構想大学院大学 客員教授)

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事業構想大学院大学では平成30年度、内閣府知的財産戦略推進事務局より委託を請け、クールジャパン活動を絡めた地域プロデュース人材育成に向けた教育プロジェクトを実施した。具体的には長崎県の離島である壱岐市を対象地域として選び、そこでクールジャパンを構成するコンテンツのひとつである現代アートをテーマとした地域振興の可能性を探るとともに、最もクールジャパン活動に好意的といわれているタイを結ぶ活動展開を行った。本稿では地域のクールジャパン資源(人的資源も含む)を発掘し、それを編集して新たな価値を付与した上で、海外に受け容れられる商品・サービスを具現化する地域プロデューサーの目指すべき人材像と、その育成手法について報告を行いたい。

1 本教育プロジェクトの概要

(1)本教育プロジェクトの概要

図1にもあるように、内閣府知的財産戦略推進事務局ではクールジャパン(外国人がクールと認識する日本の魅力)を具体的に約20のジャンルに分類してポジショニング化している。この中でも特に「神話」と「現代アート」はスピリチュアルかつポップなコンテンツとして海外からも最近では注目を集めつつある。ことに日本の神話の集大成ともいえる古事記では、天界と地上を結ぶ要所として壱岐の島が描かれている注1。そうした流れを受けて長崎県壱岐市は観光商工課を中心として、平成29年度より有人国境離島法に基づく滞在型観光促進事業の一環として、COZIKIプロジェクトを推進している。このプロジェクトでは、古事記や神話をモチーフとした著名なグラフィックアーティストたち注2による作品群を掲載したアート誌『COZIKI』の発刊と、さまざまな関連グッズの販売等の活動がすでに実施されており、マスメディアを通じて全国的にも話題を喚起しつつあるのが現状である。そこで事業構想大学院大学では、このCOZIKIプロジェクトとの協力・アドバイスを仰ぎながら、地域の経営資源・文化資源を最大化し、グルーバルなリレーションを形成するためのベースとなる事業デザインの構築に取り組むこととなった。ちなみにグローバルなリレーションの具体的な対象先としては、2019年度2月よりローコストキャリア(LCC)が福岡空港に乗り入れたタイをターゲットとしている。

図1 内閣府によってマッピングされたクールジャパンのジャンル

出典:2018年10月内閣府 知的財産戦略推進事務局作成資料

 

(2)本教育プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は3つある。先ず、国産み伝説の地である壱岐固有の雰囲気・テーマ性・物語性を活かした現代アートとの融合による九州に新たな観光事業の拠点を構築する可能性を探る。これはクールジャパンコンテンツの活用につながる。

2つ目には、上記の観光事業化に関して、壱岐の地理的なポジショニングからも福岡という大都市圏を巻き込んでいく必要性に対する適応を図ることが上げられる。壱岐は行政区分的には長崎県に属するが、利便性と観光導線は圧倒的に福岡市に集中しやすい。従って、壱岐・福岡・タイを結ぶリレーションを構築し、インバウンドに向けた具体的なプランニングを図ることが目的ともなる。そしてこのような統合的なプロジェクト活動を行うことで、地域振興活動を有機的にformulate(編成)していく地域プロデュース人材の育成を図っていくことが3つ目の目的となっている。

2 地域プロデュース人材教育に求められる能力と教育プログラムの実践

(1)エピソードメイクの創造能力

内閣府知的財産戦略推進事務局の資料によれば、地域プロデュース人材に必要な能力として、地域の魅力の発見・創出力(ストーリー構築等)、が定義されている注3。ここではとくにストーリー構築力に注目したい。商品・産物であれサービスであれ、その成り立ちには固有の経緯と特有された背景が存在する。さらには係った人たちの想いや動機などが一連のコンテクストとして言語的、あるいは非言語的(視覚的等)な文脈として構成されていることにも着目しなければならない。この文脈とは、小さなエピソード(episode)の結合によって成立され、それぞれのエピソードを意図的に組み合わせることで、大きな物語、すなわちストーリーが完成するということだ。より分かりやすく表現するならば、ストーリー化とは、エピソードメイク(episode make)の積み重ねである。地域プロデュース人材には、こうしたあらゆる地域資源を精査しながら関連するエピソードを編集していく能力が求められる。

(2)地域デザイン思考

地域デザイン思考とは、あくまでも地域創生や振興施策に特化した思考法であり、海外に於いてもこの種の発想手法は存在しない。

ZTCAデザインモデル(図2)は、原田(2016)が提唱する地域価値の発現に向けた理論フレームである。詳細は割愛するが有効なデザインプロセスと考えられている。

図2 ZTCA デザインモデルを構成する各要素

出典:原田(2016)、18頁、図表1を筆者が一部改変

 

ゾーンデザインとは対象とする地域の一定地域を絞ることである。これは市区町村といった法令で定められた地域ではなく、地域全体の価値を高めると想定された独自のゾーンを意味している。ゾーンデザインは固定された概念に束縛されることなく、ある種の美的判断(もしくは快の判断)に基づいた主観によって導かれることが多い。東京都渋谷区の「キャットストリート」や「奥渋」、神奈川県茅ヶ崎市の「サザンビーチ」等がそれに当る。

トポスデザインは、ゾーン内に存在する場所や建築物の編集行為(メッセージ化等)を指す。トポスの意味としては、自然の経験を与える場所、歴史的な建物、墓所や塚などをイメージしてもらえば良い注4。最近ではインスタ映えする時空間もこれに含まれる。トポスとゾーンは対の関係にありながら、互いに補完の状態にあるともいえる。

コンステレーションデザイン注5とは「何らかの意味あるつながり」の構築を意味している。原田はさらに具体的に、ゾーンに既存する資源から新たな価値を導出するためのコンテクストとしての物語(ストーリー)を創造すること(原田・古賀、2016)、としているがこれは前述のエピソードメイクに他ならない。

アクターズネットワークデザインは、ゾーン内のトポスを有効化し、コンステレーションを駆使しながら、その地域の価値を創造していく活動家(アクター)たちを有機的にformulate(編成)する営みを指す。ここであえて、何故organization(組織化)とはせず、formulate(編成)としたかについては図3を基に説明したい。

図3 地域プロデュース人材によるFOMULATEの概念図

出典:桜庭大輔(2018)作図を基に筆者が作図

 

図3は桜庭(2018)のプロデュース理論の図表を基に筆者が作図したものであるが、一見して分かるように、従来型の地域プロデューサーの機能は、いくつかの下部組織を束ねる、あるいは経済主体や文化主体といった異なる主体同士をつなぐ、といった役割が求められていたが、ここではそうした調整機能よりはアクター間のinspire(啓発と刺激)が優先される。いわば作業分担的な縦割型組織の構築ではなく、地域連絡会議のような連携型組織でもない、創発を生み出すためのネットワークのformulate(編成)が訴求されるのである。図の中心に位置する地域構想家注6は、地域活動家(アクター)の求心的な存在であり、プロデューサーを兼ねる場合もある。地域活動家とは経済主体、文化主体、行政主体、または外部からのコーディネーター達によって構成されるが、求心的な存在は概ね彼らの内から現出することになる。

(3)カタリスト(媒介者)としての自覚

イノベーションに介在する人材の媒介機能的役割として、さまざまな呼称が生まれているが、桜庭(2018)はそうした人材をカタリスト(catalyst)と総称している。

カタリストは単なる情報やナレッジの媒介者ではない。桜庭はカタリストを、情報価値の変容者注7としても位置付けている(桜庭、2018)。重要なことは、各自がそれぞれ知り得た情報を各自が咀嚼し、目的にかなった編集を行った上で、別の第三者に伝えていくという価値伝達の変容行為にある。限られた人的資源を最大化しなければならない地域創生事業に於いて、地域活動家たちは互いにアイディアを刺激し、ときにはモラルを鼓舞し合う関係性を築き上げなければならない。それが図3のinspire!につながるのである。そのためには先ず、一人ひとりがカタリストであるという自覚が求められることになるだろう。

(4)地域プロデュース人材育成プログラム

このような3つの能力を醸成するために、今回のプロジェクトでは「座学」・「フィールド調査」・「仮説構築」・「検証のためのフィールド調査」・「提案構築」といった5つのプロセス経ることとした。

3 具体的なプロジェクト活動に

(1)壱岐及びタイに於けるフィールドリサーチの実施

壱岐への最初のフィールド調査は、2018年の11月と2019年の1月に行われた。リサーチは壱岐市の白川市長をはじめとした市役所の方々へのヒアリングから、市井の多層な人々へのヒアリングをデプスインタビューの手法等を交えながら進められた。また、観光資源や各種の産業資源の実態もロケーションとともに調査した。その結果、以下の6点の問題が抽出された。

① 古事記あるいは神話との親和性・関連性が、既存の観光資源からは視覚的に見出せない。

② 上記の理由から神話をテーマとした現代アートの整合性が難しい。

③ 混在する歴史的な街並や文脈が大きな物語としてまとめきれていない。

④ 感覚に訴える美的な自然資源が豊富であるが、それらが点在するために埋没している。

⑤ 天然の食材が豊富にあるが、アレンジや加工力が弱い。

⑥ 規模の経済を追求しないことで、独自の付加価値性の高い商品が存在する。

一方でタイのバンコクでも2018年12月にフィールド調査を実施した。これについての調査結果は以下の通りである。また、バンコクと日本を中継しながら、想定される女性ターゲット層とのグループインタビューも行った。

⑦ タイの20代後半~30代前半の女性層にとって、日本はクールな対象ではない。

⑧ 壱岐や福岡を含めて九州の観光的な知名度は低い。対照的に韓国ソウルへの人気が高い。

⑨ 現代アートへの関心は一般的に低い。読書人口も少なく、歴史的なものへの関心も低い。

⑩ 都市文化が形成されつつあるバンコクでは、現代アートへの関心が高まりつつある。バンコクアートビェンナーレ(BAA)の開催が、ひとつのムーブメントを起こしている。

⑪ バンコクに集中する知的及び経済的水準の高い女性層にとって、日本は文化的な興味の対象である。価格的なネックもあるがLCC便の福岡路線開通が変化点ともなり得る。

(2)ゾーンデザイン及びトポスデザイン

壱岐は、行政機能が集中した郷ノ浦町、博多港からの主要な玄関口にあたる芦辺町、内海湾に面した石田町、そして漁港である勝本浦といった4つのゾーンに区分けされている。また最大のトポスとしては弥生時代の「王都」とされている原の辻と一支国博物館が島の南東部に控えている。古代ロマンを訴求する観光事業戦略を主軸とする壱岐であるが、実態としては漁業を稼業とする浦地区と、散村で農業を営む山間部地区という生活様式がまったく異なる2つのコミュニティが凝縮された離島であり、歴史的な文脈はむしろ江戸期以降の近現代に偏在している。プロジェクトチーム(PT)内の議論では、活かすべき資源は急造された真新しい弥生式住居のレプリカや、博物館で展示される空想的な古代のジオラマよりも、そうした浦の伝統的な町家が続く街並や、散村の田園風景ではないか、といった意見が主流を占めた。ちなみに、街並は英語では historic street と呼ばれる。つまり、独自の歴史が視覚的に伝わる街路を表している。実はこうした街路が壱岐の北東部に位置する勝本浦には存在する。ここの価値をさらに深めてみてはどうだろうか、といった議論がPT内では交わされた。旅行者は必ずしも「インスタ映え」するポイントのみを求めるのではないし、パビリオンでのスペクタクルを目当てにするとは限らない。実は街並の散策こそが旅の密かな楽しみでもあるからだ。しかも勝本浦の沖合には辰ノ島という、エメラルドブルーの海と白砂のまばゆい無人島が点在している。そこで勝本浦の「まちなみ」と辰ノ島の「自然」をゾーンデザインすることで、独自のゾーンを創出し壱岐の観光価値を高めてはどうか、という提案が構想された。

図4は、勝本浦の街並をPT内でマップ化したものである。一見するといかにも寂れた商店街かもしれないが、そこには独特の建築様式が織りなす景観があり、かつての繁栄振りをうかがうことができる。上の画像は勝本浦の沖合に浮かぶ無人島である辰ノ島のショットである。潮の流れが早く、海水の透明度が極端に高いために、浅瀬に近づくごとに海の色がコバルトブルーからエメラルドグリーンへと変化し、そのグラデーションが非常に美しいのが特徴である。この二つのエリアを一つのゾーンとして「美街美島地区(びがいびとうちく)」とゾーニングしてはどうだろうか、といった構想が生まれた。特に勝本浦はアルベルゴ・ディフーゾ注8型の観光開発を将来的には指向することも可能だと思われる。

図4 勝本浦の「まちなみ」

出典:著者作成

 

透明度が非常に高く、海がエメラルド色に輝く辰ノ島。手付かずの自然が残る無人島

壱岐市役所では前述のCOZIKI プロジェクトチームとともに、アート誌『COZIKI』に参画するアーティストたちの作品展示会の実施を今年度内に企画されているが、将来的にそれらを発展させたアートフェスの開催を、「浦まちアートフェスティバル」として集約するアイディアも出された。つまり、勝本浦の街路に連なる空き家となっている古民家群をアート作品の展示会場とするプランである。

アートフェスティバルのイメージ。古い街並みを活かして、アートを創作、展示していく構想の提案

上の画像は、そうした仮説的な発想をイメージ化したものである。ゾーンデザインとはこのように、今存在するモノのアイデンティティをある目的に沿って拡張したり、飛躍させたりもする。そしてそうしたイメージをこのように具象化することで、想定された独自のゾーンを導き出すことができる。

壱岐に於けるアートフェスの開催は確かに現状では困難かもしれないし、地域ごとの調整や係る方々の想いやパッションがそれぞれに複雑なことも推測できる。余所者が意見を差し挟むことへの反感もあるだろうし、何よりも予算が伴い、誰かが責任を負うことになる。軽軽に語ることへの違和感も生じるかもしれないが、本PTではCOZIKIプロジェクトを発展させたアートフェスの構想概案を、本大学院7期生の岡田智広さんと山脇克孝さんを中心としてまとめてもらった。(詳細は前項を参照)これはあくまでも仮説的なコンセプトの提案であるが、何らかの参考となれば幸いと考えている。

(3)コンステレーションデザイン(何らかの意味あるつながりの形成)

現代アートと神話(古事記等)を核として、タイ及び壱岐との関係性を「何らかの意味あるつながり」とさせることは、非常に難しいと謂わざるを得ない。COZIKIプロジェクトは神話と現代アートを壱岐という舞台で巧みに融合させ、優れたコンステレーションデザインを成功させているが、それに便乗することで我々のプロジェクトが結果を出すことは無理である。フィールドワークやインタビューでも明らかにされたが、タイでは読書人口が極めて少ない。とはいえ、バンコクではBAAが開催されるなど、新しい文化的なムーブメントが先端的な一部の層で芽生えているのは事実だ。

実際にバンコクの紀伊国屋書店では、日本を含めた世界の現代アートのコーナーもある。だが、それがそのまま壱岐やCOZIKIへの誘因につながるものではない。ただ、タイとのデプスインタビューの結果、都市部の比較的学歴の高い若年の女性層にとって、京都の伏見稲荷の鳥居等、日本の独自の歴史が視覚的に伝わる文化資源に対する関心が非常に高いことも確認されている。彼女らは旅行への購買意欲も強く、それなりの経済力も有しているが、惜しむらくは日本からの情報発信がほとんど無いことだ。タイからのアーリーアダプター層を確保するには、現代アートを嗜好する層がまったく見えない状態にある中、そうした層に対するアプローチは諦めざるを得ないが、都市部に居住する学歴と経済力が高い若年女性層(20歳~35歳)をアーリーアダプターとすることは可能と考えられる。問題は彼女らをマス(mass)として捉えることが限られた予算内では不可能なことだ。そこでアーバントライブ(指向性で括られる小集団)の形成が考えられた。本大学院では7期生に当る、院生のロークニヨム・チャッチャイさんと加納大さんがPTに参加されていたが、彼らはともにAPU(立命館アジア太平洋大学)のOBであったことから、APU(立命館アジア太平洋大学)のOBやOGを対象として、タイと九州を結ぶアーバントライブを構築して、知的水準と経済水準の高いタイ(主にバンコク)の若年男女層を取り込んでいくことが構想された。具体的にはタイ語によるwebページの制作がチャッチャイさんによって実施され、タイ国内で「壱岐<iki>」を検索した場合には詳細な観光情報が見られる仕組みが構築された。

バンコクの紀伊國屋書店

さらに具体的には、タイ国内のインフルエンサーへのアプローチが加納大さんを中心に現在行われている。

(4)アクターズネットワークの構築

詳細は省くが、壱岐では行政指導による外部知資材投入を核とした雇用機会拡充事業が推進され、古民家をリノベーションしたゲストハウスの運営事業などが行われているが、地元レベルでは、地域構想家ともいうべき地域住民と移住者とが化学反応を起こし、新たな経済文化活動が胎動しつつある。とくに芦辺地区の旧市街地では、ゲストハウス「みなとや」を経営する大川漁志さんと香菜さんのご夫婦を中心として、地域食堂運営や移住相談事務といった新しい事業形態の創出が生まれている

さらに、大川漁志さんは壱岐原産のシナモンを原材料とした「地コーラ(オーガニックコーラ)」の製造まで手がけている。この「みなとや」の活動の特徴は行政からの補助を一切受けていないところにある。また多くの移住者やサポーターと呼ばれる協力者が全国はおろか、海外からも「みなとや」に集まって来ている。まさに図3にあるFORMULATEが、大川さんご夫婦を中心に構築されているのである。こうしたアクターの方々たちを、さらに行政や様々なコーディネーターやプロジェクトグループと編成させていくのがアクターズネットワークデザインであるが、距離的な障壁もあって簡単には進まないのが現状である。とはいえ、事業構想大学院大学のプロジェクトメンバー各位は、擬似的ではあっても地域プロデューサー的な役割を体感できたのではないか、と思われる。これは各自がカタリストの概念を理解し、メンバー内での役割(エキスパートやコーディネーター)を務めてくれたことが大きい。

4 終わりに ̶ 残された課題と今後のプロジェクトの展望について

本稿の現執筆段階に於いて、本プロジェクト活動は最終プロセスである提案構築の過程にある。タイでのアーバントライブの構築に向けては、タイ語によるweb情報の配信が2月末にスタートした。タイ国内で「壱岐」を検索した場合には詳細な観光情報が見られる仕組みとなっているが、効果はまだこれからである。

タイ語で壱岐島の紹介、行き方、観光するときのガイドを作成。2019年2月20日時点で、Google検索6位。 https://chuysan.com/2019/02/ikiisland-nagasaki/

本稿では触れなかったが、焼酎や、ジャム注9といった特産品に関する考察も取り掛かりの途中にあり、こちらのエピソードメイクを含めたコンステレーションデザインも今後の課題である。できれば、「座学」・「フィールド調査」・「仮説構築」・「検証のためのフィールド調査」・「提案構築」といった5つのプロセスを通して、壱岐地場産業の六次産業化等の検討を次年度に実施していきたいとも考えている。グローバルで通用する地場産業の六次産業化は、壱岐の豊富な農資源を想定した場合、可能なものとも思われるからだ。活動の継続を期待して止まない、というのが偽らざるプロジェクトメンバーの想いでもある。

注1 古事記の国産み神話において、壱岐島は天比登都柱(アメノヒトツバシラ)として高天原と地上を結ぶ要所として記述されている。
注2 寺田克也、河村康輔、天野喜孝、藤沢とおる等が参画している。とくに寺田克也は壱岐の海岸でライブドローイングのイベントも行っている。
注3 内閣府知的財産戦略推進事務局(2018.3.30)『クールジャパン人材育成検討会最終とりまとめ』PP.45~47
注4 原田・古賀(2016)は、トポスには人に対してイメージや記憶を強く定着させる特徴があるとしている。
注5 原田(2016)は、コンステレーションを社会心理学の専門用語としての、長期記憶という概念で取り上げている。
注6 地域構想家の定義とは、地域固有の物事を考え、発想し、組み立て、実践し、そのことが地域社会に役立つことを行う者としている。
注7 桜庭(2018)によれば、生産的なコラボレーションの間には、自らの「信頼」を賭して「A者」と「B者」間の情報に付加価値を与えながら人為的に繋ぐカタリスト「C者」の存在があることを指摘している。
注8 Albergo Diff uso 。イタリア語でアルベルゴは「宿」を、ディフーゾは「分散」を意味する。兵庫県丹波篠山市におけるNIPPONIAグループによる展開のように、小規模な市町村では古民家を改築したアーベインなホテル、土地の原産品を活かしたフレンチやイタリアンの飲食店やカフェなどを分散的に配置(アルベルゴ・ディフーゾ)して、地域全体をひとつのプレミアムなエリアとする戦略が効果を上げている。
注9 勝本浦にある下條果物店のオリジナルジャムを指す。ここの「夏みかんジャム」を食した作家の吉本ばなな氏が、「生涯で一番美味しいジャム」と絶賛したことで、密かな人気が広まっている。

参考文献
原田保・古賀広志(2016)「地域デザイン研究の定義とその理論フレームの骨子」地域デザイン学会誌『地域デザイン』第7号、18頁-19頁
桜庭大輔(2018)「イノベーションを導くカタリストとプロデュース理論について」地域デザイン学会誌『地域デザイン』第11号、277頁-279頁
Stecker, R. (2010) Aesthetics and the Philosophy of Art , Rowman & Littlefi eld Publishers,Inc.(森功次訳『分析美学入門』頸草書房、2013年)

 

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