車の運転で「健康寿命」を伸ばす 自動車教習所の新ビジネス
クルマの運転をすることで、リハビリや認知症予防を実現する。独自のアプローチで高齢社会の課題を解決しようとしているのが、オファサポートだ。同社は自動車教習所の会社であり、成熟産業を変革して新たなビジネスモデルを創出している。
ビジネスの力でさまざまな社会課題を解決するイノベーターを表彰する「ニッポン事業構想大賞」。第3回を迎えた2018年は、47都道府県および政令指定都市の自治体からの推薦・情報提供を参考にし、全国150社以上の企業の中から大賞1社と特別賞4社を選考した。
大賞を受賞したオファサポート(宮崎市)は、斜陽とされる自動車教習所業界において、新たなビジネスモデルで成長を目指す企業だ。同社は、AI型自動車運転評価システム『S.D.A.P.(スダップ)』を開発。そのシステムを活用し、クルマの運転によるリハビリ、認知症予防という新たなマーケットを開拓している。
『S.D.A.P.』は、車両にGPSや各種センサーを搭載して走行情報を取得するほか、目視評価のデータ等を記録し、「模範走行」のデータと比較して被験者の運転技能を評価するシステムだ。
オファサポートは、AIの専門家である東京大学工学博士兼Qosmo代表、徳井直生氏の協力を得て、2016年6月に『S.D.A.P.』のプロトタイプを開発。さらに、宮崎大学との共同開発により、「視線計測」の実装を進めている。
運転を用いたリハビリを着想
なぜ、自動車教習所の会社が、AIを活用した運転評価に乗り出したのか。もともと、オファサポートは全国でも珍しい介護施設を併設する自動車教習所だったことが背景にある。
オファサポートの服部幸雄社長は、介護事業への参入を決めた要因の1つとして、既存事業とのシナジーを挙げる。
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