「新しいグローバル化」の時代、競争ルールが変わる

ICTがもたらした「新しいグローバリゼーション」によって、競争のルールは大きく変わり、今後、人の移動の制約も解消されることで、さらに新しいグローバル化の時代が始まる――。気鋭の国際経済学者の著書をもとに、グローバル化とイノベーションの行方を展望する。

吉川 智教(早稲田大学 名誉教授)

「グローバル化」の歴史的な変遷

2018年に刊行されたリチャード・ボールドウィン著『世界経済 大いなる収斂 ~ITがもたらす新次元のグローバリゼーション~』はイノベーションとグローバリゼーションを同時に論じた本であり、その重要なメッセージは「モノの移動、情報の移動、人の移動が、それぞれの時代に応じた新しいグローバリゼーションをもたらす」ということです。

著者のボールドウィン教授は、MITで国際貿易に関して博士号を取得。現在、ジュネーブ高等国際問題・開発研究所の教授であり、ロンドンにある経済政策研究センターのディレクターも務めています。

『世界経済 大いなる収斂』は、それぞれの時代において、どのように条件が変化し、どのようなイノベーションが達成されれば、将来いかなる種類のグローバリゼーションが可能になるか、また、新しいグローバリゼーションが新しい競争のルールをもたらすことを明確に論じています。

リチャード・ボールドウィン著『世界経済 大いなる収斂 ~ITがもたらす新次元のグローバリゼーション~』(日本経済新聞出版社、2018)。原題は『The Great Convergence~information Technology and New Globalization~』(Harvard University Press、2016)

ここで、本書の内容を簡単に解説します(表・参照)。第1次グローバリゼーションでは、「モノの移動」が可能になったことで、国際的な交易が促進され、グローバルな経済競争が始まりました。

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