アメリカ進出の商機 日本人がいない地域にも「埋もれた市場」

トランプ大統領の政権下で保守化の揺り戻しが進むアメリカ。マイノリティの強みを生かせば、思わぬところに商機は埋もれている。在米経験の豊富なアメリカ進出支援コンサルタントらが語った。

シアトルの都市風景。人口集中と過密化が進む一方で、アメリカ人のローカル志向は強まっている(写真はイメージ)

シアトル発の米国進出支援

講師のグッドイヤー・ジュンコ氏と村山みちよ氏はシアトルに拠点を置くAgentic LLCを経営、米国進出支援を展開。株式会社メディアシークと共に、アメリカ発の日本語情報メディア「ビズシーズ(BizSeeds, https://bizseeds.net/)」を運営し、米国ビジネスの先端動向を配信している。

グッドイヤー氏と村山氏は、ビジネス商談でプライベートジェットに試乗することも(ネバダ州・ラスベガスで撮影)

2016年の米国大統領選挙でトランプ大統領が誕生した背景には、アメリカの二極化するビジネス環境がある。高騰する大学・大学院教育費の影響で、1,000万円単位の学資ローンを抱えて社会に出る学生は少なくない。こうした環境下で「ミレニアル世代(2000年代に成人を迎える1980年代生まれの世代)」の価値観も変容し、富の多寡を競い豊かな生活を目指す価値観と異なり、必要な物を選択する「ローカル・フォーカス」を選ぶ若者たちが増え、「地元で愛され、地元が応援するビジネス」が興りつつある。

ローカル・フォーカスが素晴らしいとされる理由

出典:グッドイヤー氏講演資料から編集部作成

 

「2016年大統領選挙の有権者分布をみると、都市と地方での支持層の二極化だけでなく、共和党支持の州がやや多いことがわかります。実際、アメリカ人の中には生まれた土地で育ち、海外旅行もほとんど経験しないまま一生を終える人びとも少なくありません。かつては『田舎に帰る』というと後ろめたさがありましたが、2001年の同時多発テロ事件や2008年のリーマン・ショックを機に社会の価値観が変容し、シアトルやニューヨーク市といった沿岸部の大都会の喧騒を避け、自分らしい人生を選択する層が増えつつあります」(グッドイヤー氏) とはいえ、余所者がローカル・コミュニティに飛び込んで何か変化を起こそうとしても上手くいかないのは、国や地域を問わず共通だ。自分自身のストーリーを編み直し、それを根ざす地域と結び付けることが秘訣になる。

マイノリティの強みを逆手に

2018年は大統領中間選挙の年にあたり、折り返しを迎えたトランプ氏の任期は、早くも次の大統領選挙を見据えた動きが始まっている。その中でも注目すべきは、今年7月9日に引退を表明したケネディ最高裁判事に代わり、任用されたブレット・カバノー氏だ。

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