「人」と「ロボット」の共存社会へ アパレルから未来をデザイン

ロボットに服を着せる。そんな独自の発想でロボット業界に新風を巻き起こした男がいる。日本の縫製技術×ハイテクが融合したロボットユニフォームを開発。目指すのは「人間の豊かさをロボットと共に」。人間とロボットの新しい関係がはじまる。

泉 幸典(Rocket Road代表取締役)

ここ数年、AIやロボットといったキーワードがニューストレンドのトップを占め、あらゆる産業を大きく揺さぶっている。様々なプレイヤーがAI・ロボットと共存する未来を模索し、新事業を展開する中で、世界初のロボット専用アパレルブランドとして注目されるのが「ROBO-UNI(ロボユニ)」だ。開発者は、ホテルやレストランを対象としたユニフォームメーカーの執行役員を経て起業した、Rocket Road代表取締役の泉幸典氏である。

「AIやロボットなどのテクノロジーが台頭する今、AIやロボットより"差別化できる"人間は評価されるが、そうでないと仕事を奪われる。そういう意味でテクノロジーは脅威だと、私は以前、決めつけていました。しかし、AIやロボティクスに関わる調査をし、私の見解は180度変わりました。彼らは人間の能力がいかに優れているかを明らかにし、人間の役に立ち、人間と共存する未来社会をつくることがAIやロボットの使命だと教えてくれたのです」

泉氏は、ソフトバンクロボティクスが開発した「Pepper(ペッパー)」をはじめとした量産化されるヒト型ロボットを既成概念にとらわれない目で捉えてみた。すると、どのロボットも見かけは同じで、無機質な表情に見えたという。何を話しかけたら良いのかも分からない。「新しいテクノロジーは取扱説明書なしに使えないとなかなか社会に広がりません。今の状況では一般消費者とロボットとの距離がまだまだ離れていて、ロボット好きやIT業界のものという認識が強い。ロボットに人間の社会性というフィルターをもたせたバイアスをかけることで、人間との距離を近づける共通のアイコンを作れないか。ロボットのユニフォームがあれば、ロボットの社会的役割が誰にでも理解しやすくなるのではないか」と思い至ったのである。

ロボットに服を着せるといっても、一筋縄ではない高度な技術が必要だ。一番の課題は熱と静電気。「熱を逃すために特殊な素材を使ったり、服とロボットの表面の間にスキマを開けたり、あるいはロボットの手足の関節に布地が挟まらないように服を着せたままダンスを踊る動きを、連続8時間・5日間繰り返すなど手探りの実証実験を黙々と行った」と明かす泉氏。ロボットに合わせたオーダーメイド品ともなれば、コストも労力も必要だ。

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