移民向けアプリ、少女像ゲリラ設置 トランプ時代の「反骨」の創造力

トランプ政権の誕生以来、社会の分断が深まるアメリカで、クリエイターやエンジニアの「反骨精神」が輝いている。今年話題を集めた2つのプロジェクトのキーパーソンに話を聞いた。

国際女性デーにあわせて、ニューヨーク・ウォール街に設置された少女の銅像「Fearless Girl」
Photo by Anthony Quintano

恐れを知らぬチームが実現
「Fearless Girl」

今年3月8日の国際女性デーにあわせて、ニューヨークの金融街ウォール・ストリートに突如現れた少女の銅像「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」。ウォール街の象徴である巨大な雄牛像「Charging Bull」に向かい合うように、腰に手を当てた自信溢れる表情の少女像によって、女性の地位向上に関する議論が世界中で沸き起こった。

少女像のゲリラ設置プロジェクトを仕掛けたのは大手クリエイティブエージェンシー、McCANNのニューヨークオフィス。資産投資会社SSGAから「企業における女性役員比率の向上を訴えたい」という依頼を受け、McCANNから銅像設置というアイデアを提案したという。

「女性のパワーを伝えることが私達のミッションであり、その対比となる男性リーダーシップのアイコンとして、Charging Bullに注目しました」とエクゼクティブプロデューサーのクリスティーン・レーン氏は話す。

なぜ少女を選んだのか。「少女は現在の"女性の弱さ"を表すとともに、未来を象徴します。また、誰もが少女・少年時代を経験しているので、自分と関連付けて銅像について話し合ってくれると思ったのです」

プロジェクトは2016年11月にスタート。最初の1カ月間は、時間のすべてを銅像のスケッチに費やした。Charging Bullに引けを取らないマスターピースを創るために、表情や服装、髪型、姿勢などあらゆる細部までこだわったという。

銅像の名称が決まったのは設置のわずか3日前。「使われていない名前、でも、メッセージがクリアな名前を付けようと議論を続けました。Fearless Girlという言葉が出た瞬間に鳥肌が立ち、これだ!と感じました」

銅像を設置する日は、3月7日、国際女性デーの前日に設定した。国連本部やニューヨーク市内では国際女性デーに関する様々なイベントが行われ、世界中からプレスが集まっているからだ。設置に関する情報はウォール・ストリート・ジャーナルのみにリークし、当日の紙面で大きなキャンペーンを張った。同時に、Fearless Girlをテーマにした動画をWEB上で公開した。

その結果、Fearless Girlの話題はわずか数時間で、メディア・SNSを通じて野火のように世界中に広がった。設置から4カ月間でtwitterでは33億、Instagramでも4億のインプレション数を記録。現在も沢山の女性や子供、観光客が銅像を目的にウォール街を訪れる。風刺漫画やゲーム、タトゥーにも少女が登場した。像はすぐに撤去する予定であったが、全国から設置継続の嘆願が起こり、ニューヨーク市長の尽力もあって、ほぼ恒久的な設置が認められた。

なぜFearless Girlは成功したのか。プロヂューサーのデボラ・アーシャンボウ氏は2つの要因をあげる。

「ひとつはタイミングです。2016年のアメリカ大統領選挙の記憶が鮮明な中で迎えた国際女性デーは、反強権主義や女性の地位向上を訴えるには絶好のタイミングでした。もうひとつの成功の理由は、私達自身が"Fearless"であったことです。ウォール街の象徴に挑戦することに対して、社内からも多くの懸念の声がありました。それでも恐れず、大きなリスクをとってチャレンジしたのです」

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