地域経済の社会的価値を見える化 異質なもの同士の連携が重要

地域経済開発プロデューサーとして30年にわたり国内外で活躍する宮本倫明氏。地域政策の要となる「地域所得の向上」「連携共創の仕組み」そして「社会的価値の見える化」について語った。

宮本 倫明(Landa 代表取締役)

継続可能な地域の価値を創造

地域経済開発プロデューサー、イベントプロデューサーである宮本倫明氏。1985年から、「海と島の博覧会・ひろしま」(1989年)、三重県全域での地域づくりの総合支援事業「美し国おこし・三重」(2009~2014年)など、博覧会、万博、地方博などの企画・プロデュースを多数手がけてきた。

プロデューサーとして活躍してきた宮本氏の地方振興における考え方を大きく変えたのが、2001年に福島県で開催された「うつくしま未来博」。民話をテーマにしたパビリオンがきっかけとなった。

民話を語れる話者のほとんどが高齢だったこともあり、企画ではからくりを使った「民話茶屋」を作る予定だった。しかし、準備段階で行った民話コンサートで「民話を学びたい」というニーズが高いことが分かり、企画を変更。無形文化遺産ともいえる民話を守る意味も含め、からくり設備に使う予算を教育費に切り替え、県内7カ所で民話教室を開いた。

結果、期間中、約90日間のライブステージを実現。博覧会終了後にはNPO法人語りと方言の会が誕生し、今でも活動し続けている。

「当時、博覧会にかけた費用は約170億円。通常、博覧会は、終わったら会場は全て取り壊され、何も残らない。ところが、この民話で繋がった人のネットワークは残ったのです。とても驚きました。それ以降、私は住民の活動にフォーカスした、長続きする仕組みづくりについて、考えるようになりました」

福島での経験を踏まえ、徹底的に住民グループに投資し、観光資源を開発したのが2004年の「えひめ町並博2004」。28市町村それぞれで何度も座談会を開き、地域住民との対話によって、継続可能な新たな地域の価値を創造していった。この博覧会は、日本イベント大賞(日本イベント産業振興協会)、PRアワードグランプリ(日本パブリックリレーションズ協会)などを受賞した。

「イベントは一過性で何も残らないと言われますが、イベントを活用して継続可能なシステムを作っていくことはできると考えます」

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り63%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。