足元の「価値」を見つめ直す 世界に誇る日本のテキスタイル

世界のトップブランドが、買い付けに訪れる日本のテキスタイル。しかし、日本では、その「価値」は見過ごされている。国内外で活躍するテキスタイルデザイナー、須藤玲子氏に話を聞いた。

須藤 玲子(テキスタイルデザイナー)

――モノづくりにおける、世界に通用する“日本の強み”とは何だと思いますか?

須藤 日本のモノづくりの特徴の一つは、神業のような精緻で美しい手技を伝承する伝統工芸と、最先端の科学技術を駆使した工業製品が共存するところだと思います。

そこから、世界に例を見ない優れた製品がつくり上げられています。特に私たちインダストリアル・テキスタイルの分野では、専門性に特化した優れた技術者同士の信頼関係が生み出すモノづくりが存在しています。

また、これは私ども『NUNO』の布づくりについてですが、例えば手作業でつくった「折り紙」技法を使った布地づくりや、手作業で布地やテープなどを配置したり、カットしたりと、手と機械が恊働で仕上げるモノづくりなども特徴として挙げられます。

無形文化財保持者を頂点に活躍をする芸術性の高い伝統工芸作品は、一貫したモノづくりを標榜しています。日本各地に残る伝統工芸品や特産品、および工業製品において、特筆すべきは、高度に分業化された生産スタイルにあると思います。

日本のモノづくりは、一つ一つの工程に専門の職人や技術者がおり、高い技術を持ち寄ることで、質の高いモノづくりを行います。技術力のある会社があれば、その他は不要とはならず、皆が信頼し合って共存しています。

分業しながら、共に成長することを目指すこのスタイルは、日本ならではの知恵があるように感じます。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り73%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。