「傷が早く治る絆創膏」で成長 「体に貼る」から新製品を発想 

「シリコーン粘着剤」や「天然ゲルパッド」などの独自技術を有し、救急絆創膏の製造で発展を遂げてきた東洋化学。同社の強みは、技術力だけでなく、新たな製品を生み出す展開力にある。

湿潤型の絆創膏『モイストキュア』。吸水成分が傷口から出た体液を吸収し、保持したまま傷を保護。従来型の絆創膏に比べ、貼付時の違和感が少なく、皮膚によく馴染む

誰もが必ずお世話になったことのある絆創膏。特に子どものいる家庭では、無くてはならない家庭用衛生品だ。

その救急絆創膏で、研究開発から製造・販売までを手掛けるのが東洋化学だ。古く奈良時代から薬の歴史を持つ滋賀県にあって、地域資源である「日野・甲賀の薬」を活用した「湿潤型絆創膏」を開発するなど、最新の技術を活かした製品づくりを続けている。

置き薬の販路を活かして発展

東洋化学は、1959年に肩こりや腰痛時に利用する貼り薬のメーカー・岡薬品工業社として創業。当時、他の中小薬メーカーは、錠剤や丸剤、散剤、アンプルや飲み薬、軟膏などを幅広く手掛けていたが、東洋化学の創業者は「二番煎じで参入しても成功するのは難しい」と考え、肩こりや腰痛など、今後も無くならないであろう症状に着目し、貼り薬の製造に特化した。

当時は、各地で薬売りによる家庭用の配置薬がよく利用されていた。東洋化学は、貼り薬をその配置ルートに乗せることで、着々と会社を発展させてきた。富山や奈良、佐賀と並んで滋賀は歴史的に配置薬の多い県であり、業者が多く流通が盛んだったのも功を奏したのである。

そして1971年11月、絆創膏の製造を開始。ちょうど絆創膏が一般化していった時代背景に加え、貼り薬と併せて家庭に配置してもらうことでシェアを伸ばした。さらには製造業務にとどまらず、技術開発部も設置し、製品を他社と差別化することに尽力。

現在は大手ドラッグストアを主な販路にするほか、大手メーカーのOEM(委託者ブランド名製造)なども請け負っている。

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