島民が出資して設立した「しまの会社」 火付け役は女性公務員

愛媛県の離島、弓削島で島民が出資して設立された「しまの会社」。山や浜で採れる「摘み菜」や、伝統製法の「藻塩」をブランド化し、島に新しい富と活力を生み出した。仕掛け人は元公務員の女性だ。

弓削港からほど近く、しまの会社が運営する「しまでカフェ」

島民が出資し会社設立

愛媛県瀬戸内海に浮かぶ、面積9.65km2の小さな離島、弓削島。平安時代から製塩で知られ、「塩の荘園」とも言われた、歴史と文化豊かな島である。ここに周囲を巻き込みながら活動を進めていく一人の女性の姿がある。村上律子氏は弓削島の地域活性化においてもはや欠かすことのできない原動力ともいうべき存在だ。

愛媛県上島町(旧弓削町)に生まれた村上氏は、弓削町役場にて38年間公務員を経験。役場内女性初の課長にも就任し、地域おこしやその支援政策の立案に携わった。2004年には、弓削島の16の女性グループからなる「おいでんさいグループ」を結成し、島内で体験交流などの各種イベントの開催や、公的支援の行き届かない高齢者へのボランティア活動を実施。また弓削港近くの商店モールの中で店舗を借り、お年寄りが作る手毬や編み物、野菜などを販売する直売所を設けた。

「それまで趣味で作っていたものがお金になるとすれば、お年寄りの皆さんも楽しみになるでしょう。喜ぶ顔が見たくて、おいでんさいグループのみんなで協力し合いながら活動を続けてきました」

村上律子 しまの会社 代表取締役社長

この活動は島内の住民から支持を集めながら軌道に乗っていく。2008年には、「もっと他にできることが」と村上氏は役場を早期退職。その後、Iターンの若者と島で会社を設立することとなる。それが、「しまの会社」である。

「摘み菜」や「藻塩」など島ブランドを次々に開発

「気軽に立ち寄れるカフェを作ることで島内外の人たちの交流の場とし、地域のコミュニティ作りに一役買い、さらに地域で採れたものや作ったものを全国に向け販売していきたい」と、まさに島全体の活性化を睨んでのことだった。

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