2015年7月号
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プロジェクトニッポン 福島県

復興へ、ロボット産業革命に挑む

内堀雅雄(福島県知事)

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原発事故の収束、風評、人口減少など、数々の課題を抱える福島県。内堀知事は福島県の復興・再生に向けて、「イノベーション・コースト構想」を掲げ、ロボット、医療機器、再生可能エネルギーなど、成長産業の育成に挑戦する。

内堀雅雄(福島県知事)

―福島県の地域資源の魅力、潜在力について、どう見ていますか。

東日本大震災と原子力災害から4年が経ちました。この4年間、福島県は国内外の多くの方に支えていただきながら、復興の道を歩んできました。避難地域でのさまざまな問題、根強い風評被害など、原発事故が福島県に落とした影は非常に大きいものがあります。

一方で、今年3月には常磐自動車道が全線開通し、4月には双葉郡広野町に「ふたば未来学園高校」という新しい高校が開校し、若者たちがふるさとの地に帰って高校生活を送っているなど、明るい兆しも徐々に増え始めています。

福島県には、磐梯山や猪苗代湖、日本三大桜の一つに数えられる三春町の滝桜などの豊かな自然、桃をはじめとした果物や、全国新酒鑑評会の金賞受賞銘柄数で3年連続日本一となった日本酒などのおいしい食があります。

さらに、人と人のきずなを大事にする地域社会や、1000年以上の歴史を持つ相馬野馬追をはじめとした伝統文化、さまざまな地場産業のほか、未来を担う子どもたちなど、誇るべき多くの宝があると感じています。そうした潜在力を生かすために、情報発信を一層強化していく必要があります。

「光」と「影」を丁寧に発信

―根強く残る風評などの課題を、どう解決していきますか。

大震災や原子力災害によって落ち込んだ観光客数や農業産出額は回復傾向にありますが、依然として風評による影響が根強く残っています。このため、風評を払拭するためには、福島の現状、復興に向けチャレンジしている県民の姿やさまざまな取り組みから生まれた「復興の芽」など、福島県の「光」と「影」の両方を丁寧に発信し続けることが重要です。

特に、農林水産物については、何よりも信頼を得ることが第一であり、米の全量全袋検査や肉牛の全頭検査など、安全確保に向けて徹底した取り組みを継続し、安全性とともに、農家の皆さんが丹精込めてつくったおいしい農産物の魅力の両方を発信していくことが風評払拭への一番の近道だと考えています。

根強く残る風評と進行する風化を乗り越え、福島県の復興を加速させるため、本県出身でクリエイターとして活躍されている箭内道彦さんに4月からクリエイティブディレクターに就任していただき、福島県の情報発信についてアドバイスをいただいています。

市町村や国、民間などの皆さんと幅広く連携し、さまざまなチャンスを活用して一体的な風評・風化対策に取り組んでいきます。

トップセールスについては、知事就任以来、各国駐日大使等を招いたレセプションを開催したほか、東京や福岡市で県のオリジナル品種米「天のつぶ」やあんぽ柿のセールスを行ってきました。

今後も、全国ナンバーワン、オンリーワンづくりを進めながら、「日々是トップセールス」という精神で、私自身、直接各地を訪問し、福島の現状や素晴らしさを伝え、「新生ふくしま」ブランドとして再興させていきたいと考えています。

イノベーション・コースト構想の柱

1 国際廃炉研究開発拠点(放射性物質分析・研究施設)

  1. ● 廃炉研究の中核施設、福島第一原子力発電所近傍に設置
  2. ● 高濃度放射性物質(燃料デブリ等)の分析を行い、世界の研究者を集めた研究を実施

 

2 ロボット開発・実証拠点

  1. (1)モックアップ試験施設(屋内ロボット)
  2. ● 廃炉作業等屋内を想定したロボットの試験施設。楢葉町に建設中(2014年運用開始)
  3. ● 企業や大学の研究・開発のための共用施設を整備
  4. (2)福島ロボットテストフィールド(屋外ロボット)
  5. ● 陸海空の災害対応ロボットについて、官民の研究・実証施設
  6. ● 災害対応ロボットの技術開発支援
  7. ● 研究・実証を円滑に進めるため、電波法や航空法等の規制緩和特区とする
  8. (3)ロボット国際競技大会

 

3 国際産学連携拠点

  1. ● 全国の原子力関係の研究室が集結
  2. ● 廃炉、汚染水対策、環境修復、農林水産、医学等、現地ならではの教育研究を推進
  3. ● 産学連携体制を整備し、ベンチャー企業の創出促進
  4. ● 海外原子力技術者の研修も実施
  5. ● 原子力災害の教訓・知見を継承、世界に発信するための情報発信拠点(アーカイブ拠点)

 

4 新たな産業集積

  1. (1)スマート・エコパーク
  2. ● 被災地の膨大な廃棄物のリサイクルや希少金属を抽出する拠点を整備。地元雇用を創出
  3. (2)エネルギー関連産業の集積
  4. ● 高効率石炭火力、LNG基地、洋上風力等に関連した産業の集積
  5. ● 産総研を核とした研究開発、避難指示区域での再生可能エネルギーの大量導入
  6. (3)農林水産業プロジェクト
  7. ● スマート農業、バイオマス、CLT、水産研究施設強化

 

5 インフラ整備

  1. (1)交通インフラ
  2. ● 常磐自動車道の全線復旧
  3. ● JR常磐線の早期復旧
  4. ● ふくしま復興再生道路等の整備
  5. (2)産業・生活インフラ
  6. ● 産業用地や生産・物流施設、事務所等を浜通りに計画的に整備
  7. ● 双葉郡の中高一貫校(2015年開校)

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