ビジネスモデルを見抜く TSUTAYA「延滞金0円」の戦略
新たなビジネスモデルを構築するためのヒントは、異業種に数多く存在する。自社に移植できる事例を見つけ出すには、異業種のビジネスモデルのどこを、どのように見ればいいのか。ビジネスモデルを考えるための「視点」を解説する。
ビジネスモデルのイノベーションが求められている。しかし、ゼロから新しいビジネスモデルを構築するのは難しい。スティ-ブ・ジョブズやジェフ・ベゾスらは、革新的なビジネスモデルを生み出してきたが、多くの日本企業にとって、そうした天才の出現を期待するのは現実的ではない。
そうした中で有効なのが、他社をヒントにすることだ。以前から、同業他社のベンチマークは行われてきた。しかし異業種の企業には、自業界の凝り固まった視点では気づかない、ビジネスモデルのヒントが隠されている。
異業種からビジネスモデルを学ぶためには、他社のどこを、どのように見れば良いか。当連載では、異業種をヒントに、新しいビジネスモデルを生み出すための視点を解説する。
「延滞金0円」に潜む戦略
ビジネスモデルとは、「儲ける仕組み」である。儲け(利益)とは、「売上-費用(コスト)」であり、この2つの要素からビジネスモデルは成り立っている。従来、「儲ける仕組み」というと、売上を増やすことに重点が置かれてきた。たとえば、ベストセラーの『ビジネスモデル・ジェネレーション』ではビジネスモデルを9要素に分解しているが、その多くはマーケティングに関することで、売上を伸ばす要素になっている。しかし、ビジネスモデルを構築する上では、コスト構造も深掘りする必要がある。
一例として、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループが提供するCD、DVDの宅配レンタル・サービス「TSUTAYA DISCAS」を見てみよう(注)。「TSUTAYA DISCAS」は、インターネットで予約したDVDが自宅に宅配便で届けられ、返却はポストに投函する仕組みで、定額料金で月4枚、または月8枚のDVDが借りられるサービスだ。手元にあるDVDを返却しないと、次のDVDが借りられないルールになっている。このサービスの一番のポイントは、遅延の延滞金がないことだ。それは、顧客にとって大きなメリットのように見えるが、ビジネスモデルの観点から見ると、別の面が見えてくる。
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