ブームの仕掛け人が語る 「うどん巡り」という娯楽の発明

全国的な「讃岐うどん」ブームは、なぜ巻き起こったのか。そして、ブームに終わることなく、なぜ人気を根付かせることができたのか。そこには、自らの地元を積極的に「面白がる」、仕掛け人の努力がある。

安さとうまさを兼ね備える「讃岐うどん」。一口に「讃岐うどん」といっても、釜揚げ、かけ、ぶっかけ、釜玉など、さまざまな味わい方がある

20年ほど前に始まり、今なお続く讃岐うどんブーム。そのブームの仕掛け人と言われているのが、当時タウン誌の編集長で、現在は四国学院大学教授を務める田尾和俊氏だ。「ブームというより、讃岐うどん巡りというレジャー、遊び方を仕掛けた」と語る。

香川をうどんのテーマパークに

若者向けのグルメ、ファッション、レジャー情報を基本とするタウン誌の世界で、どうすれば若い子が動くのかを常に考えていたという田尾氏。ある時、知人に誘われ一軒のうどん店を訪ねる。

田尾和俊 四国学院大学教授

「立地からしてあやしかったですね。納屋のようなところで、おっちゃんがうどんを打っていた。お客さんはほとんどが近所の人。ラフな格好のおじちゃん、持参したアスパラを天ぷらにしてもらい、うどんにのせて食べているおばちゃん。製麺所の横の間に合わせの席に座り、ささっと食べて65円払って帰っていく。面白い! これはレジャーになると思いました」

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