2015年1月号

プロジェクトニッポン 長崎県

観光から工業・商業まで 複合産業都市として成長目指す

朝長 則男(佐世保市長)

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観光から工業・商業まで、さまざまな産業が集積する佐世保市。朝長市長は、佐世保の個性と魅力を幅広く発信しつつ、「地の利」を活かして、企業の誘致や産業の発展に向けた取り組みを強化する。

雄大な自然美を堪能できる九十九島は、観光地として人気を集める

戦略的な拠点となる立地

―市長が考える、佐世保市の魅力とは。

佐世保を構成する柱はたくさんありますが、一つは観光の街という面です。観光庁が進める「観光立国」の取り組みで、佐世保市は新観光圏「『海風の国』佐世保・小値賀観光圏」として国土交通大臣から認定を受けました。

西海国立公園「九十九島」を中心に、またハウステンボスを中心にした観光は、国内外から評価され、魅力にあふれていると同時に、さらなる伸びしろがあると感じています。地元の方々が商品開発を行い、同時にガイド役を担う「時旅」という独自の企画は、観光の楽しさを拡大させています。

朝長 則男 佐世保市長

統合型リゾートにも手を挙げるつもりであり、実現に向けて産業界とも話をしていますが、大村湾をうまく活用した新たなリゾートの可能性を推進したいと考えています。

中国、韓国、東南アジアに近く、大型のクルーズ船も入ることから、岸壁を2014年4月に拡大しました。福岡、長崎の間にあっても佐世保の港は注目をされていて、観光客が増加中です。

2つ目は、造船の街です。昨今では国際的な需要を踏まえて造船業が伸びてきており、造船技術を活用した新しい事業や工業団地をつくっています。新たな企業誘致ができる佐世保の強みは、地震が少ないことです。1947年の観測開始から過去65年の間に、震度1以上の地震は83 回しか起きておらず、最高震度は4です。BCP(事業継続)を企業が考える際、リスク分散の点からも、佐世保の地に注目が集まっています。

―地元の雇用も期待できるでしょうか。

市内には工業系の公立高校が2校と国立高等専門学校が1校あり、私立もありますので、若い人材が育成され、人材が豊富です。しかしながら、技術系の知識とスキルを得た学生の約8割は現在、県外に出ています。就職先企業があれば、地元で就職をしたいという声も多く、これまでは人材を輩出してきたところに、今後は企業を誘致し、県内、市内で人材不足を解決する策を講じたいと思います。

日本本土最西端にあるという立地から、東南アジアに向けた動きも活発化しています。中国や韓国で生産を始めた企業が、技術や知財の流出を懸念し、見直しを図る動きも出てきています。佐世保は、日本国内で生産したものを海外に運ぶのに適した場所です。

西九州自動車道が北に伸長し、福岡にもつながる予定ですから、陸上交通面においても利便性が向上し、工業立地の条件が揃ってきます。

3つ目は基地の所在です。基地があることでプラスとマイナスの両面がありますが、本市は基地との共存・共生を基本姿勢としています。国は、新防衛大綱に基づき水陸機動団(仮称)を新編することとしており、その着上陸部隊である水陸機動連隊(仮称)は、本市に配置されます。今後、佐世保は国防上必要な自衛隊施設の整備・充実とともに、隊員も増え、これまで以上に国防の拠点としての役割を担っていくと考えます。

支持されるブランド特産品

―商店街が元気で注目されています。

商業集積が進んでいて、市内には、直線アーケードでは日本一長い商店街があります。空き店舗が少なく、“日本一元気な商店街”とも言われていますが、この地が生き残っているのは、福岡商圏に完全に吸収されず、独自の経済圏を形成しているからです。佐世保は商店街ががんばっていて、新しいエリアも開発されています。

食も豊富で、イリコの漁獲量は日本一、トラフグをはじめ、魚の種類も豊富です。厳選された餌で育つ「ハーブ鯖」、近海で一本釣りされる「恵あじ」、イサキのブランド魚「値賀咲」も有名になってきました。九十九島牡蠣、赤マテ貝なども高い評価を得ています。水産業は資源の減少など全体的には厳しい面もありますが、後継者も育てながら、力を入れていきます。

農産物ではみかんが注目され、西海みかんの中で「味っ子、味まる」は糖度が高く、確実な品質保証がついて、東京の市場で最高価格がついています。和牛も繁殖牛の産地です。

―この先の展開はどうなりますか。

今後も、複合産業都市として、発展を目指していきます。九十九島は、本当に素晴らしいところであり、長崎の教会群をはじめとした世界遺産登録の動きも追い風になるでしょう。

観光の3要素「美しい、楽しい、美味しい」を備えた佐世保は、イベントも日常も楽しめる、多様な対応ができていると思います。外からの注目が集まることで、地元はさらに輝きます。個性が生きる企画を佐世保発で進めていきます。

観光業や造船業、商業、水産業など、幅広い産業が存在し、県北の中心都市として発展を続ける佐世保市

朝長 則男(ともなが のりお)
佐世保市長

地方創生のアイデア

月刊事業構想では、「地域未来構想  プロジェクトニッポン」と題して、毎号、都道府県特集を組んでいます。政府の重要政策の一つに地方創生が掲げられていますが、そのヒントとなるアイデアが満載です。参考になれば幸いです。

※バックナンバーには、そのほかの都道府県も掲載されております。是非ご一読ください。

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