清流に育まれた「革新の力」

ものづくりの強みを発揮し、航空宇宙分野や医療福祉機器、医薬品分野を強化。また、「岐阜の宝もの」の発掘・磨き上げを進めるなど、観光の基幹産業化にも力を注ぐ。古田知事は、「清流の国」が育んだ伝統の強みを活かし、革新に挑む。

古田 肇 岐阜県知事

―成長分野である航空宇宙分野の育成は、どのように進めていく方針ですか。

航空宇宙分野はすでに岐阜と愛知の2県だけで全国出荷額の半分を占めており、この地域は航空宇宙産業のメッカとなっています。日本国内にとどまらず、世界の需要も大きく伸びることも予想され、向こう5年間で製造出荷額を倍増させ、4000億円の達成を目標に掲げています。

そのためにまずは、愛知県、三重県とともに形成している国際戦略総合特区「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の対象地域が、静岡県、長野県にまで広がるのに合わせ、県内対象企業も18市町の46社にまで拡大していく予定です。今後もそれら関連地域をあげて、緑地規制の緩和、投資促進税制、利子補給制度など特区のメリットを最大限活用しながら、いっそうの成長を促していきます。

また航空宇宙産業の成長を支えるためには、高度な技術力と品質保証能力を持つ人材育成が不可欠です。2009年度より生産技術や機体の構造設計を担う中核人材の育成を行い、昨年度からは航空機組立研修センターを開設し、現場技能者の育成を開始しました。さらに今年度は部品生産、加工、組立、品質保証までをセットで対応する一貫生産体制の要求に応えるため、複数企業が参画し、全体の工程プランをトータルで設計、構築、運用できる人材を育成していきます。

中小企業の技術開発を支援

―医療福祉機器、医薬品分野におけるイノベーションは、どのように促進させていきますか。

日本全体が高齢社会へと急速に進みますので、医療福祉機器、医薬品分野は大きな需要が見込めます。また、景気変動に左右されにくい非常に安定した分野でもあります。ただし問題は、開発コストがかかるうえに、開発リスクのマネジメントも必要なことです。そのため、県内企業の99%を占める中小企業が単独で強化を進めることは、難しいところがあります。

こうした課題の解決に向け、身近な研究室ともいうべき県の試験研究機関が、中小企業の研究開発や技術開発支援にきめ細やかに対応できるようにします。現在、5つある工業系の試験研究機関の機能強化を目指して、組織、施設、設備のあり方を徹底的に見直しているところです。

今年度からはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を活用した下肢装具や、移乗介助が容易な椅子の開発など、産学官連携による福祉・生活支援機器の開発にも取り組んでいます。

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