新たな選択肢 ソーシャル・ビジネス
ソーシャル・ビジネスは、社会問題を根絶するための利他的なビジネスだ。会社に利益が生じても、個人に利益が配分されない。会社の目的は、社会問題の解決にあるからだ。従来の株式会社や、非営利組織、行政機関とは異なる。その手法は、投資家や経営者、起業家、労働者に、新たな選択肢を与えている。

ムハマド・ユヌス ノーベル賞受賞、グラミン銀行創設者 Photo by World Economic Forum
常識を覆した融資プログラム
ユヌスは、経済学博士号を持つ大学教授だった。しかし、1974年にバングラデシュで起きた大飢饉で貧困を目の当たりにし、貧困の撲滅を目指した実践活動に取り組むことになる。彼が特にショックを受けたのは、高利貸しの借金返済と、不平等な商習慣に縛られた貧困層が、どんなに懸命に働いたとしても、貧困をから抜け出せない現実だった。銀行に対して、貧しい人にもお金を貸すよう訴えたが、当時の常識では、貧困層には融資の資格はないとされ、断られた。そこで、彼は借金の保証人になり、貧しい人に、貧困から脱するために必要な少額融資(マイクロファイナンス)を始めた。その結果、返済期限を破る者は一人もいなかったという。
この融資プログラムに自信を深めたユヌスは、拡大を試みたが、思うようにはいかなかった。やむにやまれず、貧困者専門の「グラミン銀行」を、長い苦労の末、1983年に設立した。
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