未来のため「説得責任」を果たす
コンパクトシティの推進で全国的な注目を集める富山市。2002年に就任した森市長は、改革の痛みや不安に正面から向き合い、政策を実現させてきた。緻密なデータで成果を示し、大胆な改革につなげている。
―就任当時、富山市が抱えている課題についてどのように見ていましたか。
富山市の一番の課題は、超高齢社会の到来と人口減少です。以前は、公営団地や公共機関、総合病院などを中心部から郊外へ移す施策がとられていました。富山は車社会で広い駐車場が必要なので、そのようになっていたのです。しかし、これからは車に頼れない高齢者がたくさん出てきます。都市機能の拡散は、ゴミを収集する範囲が広がるなど、行政コストの増加を意味します。一方でそれを負担する層は少なくなっていく。そうしたまちでは若い人が希望を持てません。
まずは、都市機能の拡散を止めなくては駄目だと思いました。そうした中でたどり着いた結論が、コンパクトシティ戦略です。
現在よりも将来市民の利益
―現在ではコンパクトシティの成功例とされる富山市ですが、まだ実績のない当時、そのビジョンへの理解者をどのように増やしていったのですか。
最近になって、「あなたの考えていることが、ようやくわかってきた」と言われることもあります(笑)。ビジョンを示しても、100人が100人、賛成するわけがありません。少しずつ、理解者を増やしていくしかないのです。
僕がいつも考えているのは、将来市民の利益です。現在の市民には、痛みも不安もあるでしょう。それでも、「今やっていることは、あなたの子供や孫のためになる」ことを説明する。そして、消極的でもいいから支持を引き出す。
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