新事業を開発・実現し、上場目指す

最後かつ最大級の企業の上場に向けて動く日本郵政の西室社長にこれからの事業構想を語っていただきました。

西室泰三(にしむろ・たいぞう)氏

ユニバーサルサービスの確保

─日本郵政は、どのような企業体を目指すのでしょうか。

改正郵政民営化法が2012年5月に公布されました。小泉内閣時代の郵政構想は、組織を5つに分割をし、別々に機能して生きていくという郵政解体論でしたが、今回は大きく違います。

郵便局のネットワークは日本社会と地域にとって極めて大切なものであり、このネットワークを確保することが郵政グループの責務であると法律に明記されています。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社と連携し、郵便サービスだけでなく、金融サービスを含めた郵便局のユニバーサルサービスを確保せよ、というものです。

2万4千ある郵便局のうち、約2万の郵便局では郵便、貯金、保険すべてを担うことが盛り込まれた、この法律が制定されたところで、私は郵政民営化委員長に就任しました。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険から新しい法律に基づいた新たな金融サービスに関する認可申請が出て、それを了承するかどうかの審議を行い、2012年12月までに意見を提出しました。その後、金融庁では厳重な審査が行われており、まだ一つも認可は出ていない状況です。

その間に、新法に基づく日本郵政グループを本当の意味で民営化するには社長を代えなければいけない、ということで、本年6月に社長に就任をしました。以来、2015年春までの上場準備の完了を目指し、必要な作業に着手しています。

また、一部のかんぽの宿、一部の逓信病院の譲渡等も含め、さまざまな観点から株式上場に向けた経営改善策を検討しています。いずれにしても、地域社会への影響等もあることから、地元自治体等の関係者と丁寧に話し合いながら慎重に進めていきます。

─日本郵政グループには様々な「知財」が存在しますが、これらをどのように活かしていきますか。

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