女性が輝くための2つの視点

「アベノミクス」の成長戦略のカギを握るものとして「女性の活用」がある。少子高齢化が進展する中、日本の労働力は減少し続ける。それは換言するならば、国富の減少であり、国力の衰退である。それを挽回するための労働力を、どうやって調達するか?

かつては、外国人労働力の大量導入ということも検討されたし、その方向性は今でもある。しかし、彼らは、収入の多くを母国に送金し続けるため、日本としてみれば、国富のさらなる減少へとつながってしまう。

では、どうすればよいのか? そこで注目されたのが、日本の女性労働力だ。

「女性の時代」というキャッチフレーズとは裏腹に、まだまだ活性化する余地が大いに残されていると考えられたからだ。

悪い言い方をすれば、「数合わせの論理」ということになるが、女性が社会で、より輝くようになるのであれば、それ自体は歓迎すべきことだろう。

これを、産業界の立場に立って、「事業構想」という観点から眺めて見るならば、2つの視点があることに気が付く。それは、①「"女性が力を発揮するための環境整備"を目的とした新事業の創出・成功」②「女性が力を発揮した結果としての新事業の創出・成功」である。

そこで、本稿では、この2つの切り口から検討してみたいと思う。

女性が力を発揮するための「環境整備」ビジネス

保育業界最大手企業JPホールディングス(東証一部)の山口洋社長は、「女性をめぐる社会構造の変化を捉えることで、それが新しい事業構想に結びつく」と、以前、筆者に語ったことがある。

たとえば、・男女雇用機会均等法施行以降の女性の社会進出・非婚化・晩婚化による働く女性の増加・高齢化に伴う家族の医療・介護費用捻出のため働かざるを得ない女性の増加・離婚率上昇に伴うシングルマザーの急増による働かざるを得ない女性の増加などが、近年、明確に存在している「女性をめぐる社会構造の変化」であろう。

山口さんは、今から10年前に、こうした「構造変化」を見抜き、「彼女たちが今、どんなことで困っているか、あるいは、今後どんな困りごとが多発するか?」を正確に把握した。

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