滞在型ツアー客の獲得へ、準備着々

住民の地道な努力によって世界遺産登録を果たした三重県の熊野古道伊勢路。来年度に世界遺産登録10周年を控え、年間28万人を上回ると予想される来訪者にこれまで以上に伊勢路の魅力を伝えるため、滞在型ツアーの提案を始めている。

熊野古道伊勢路の馬越峠。住民の手によって美しい石畳の道が維持・保全されている

三重県の代表的な観光名所の1つが、熊野古道だ。熊野古道とは熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の「熊野三山」への参詣道で、2004年7月、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録された。そのうち、三重県内にあるのが伊勢神宮と熊野三山を結ぶ「伊勢路(東熊野街道)」。

特に江戸時代以降、お伊勢まいりを終えた旅行者や、西国三十三カ所を巡る巡礼者が歩いた道として知られる。

熊野古道と聞くと、何百年にもわたって大切に守られてきた神聖な道というイメージを抱いてしまうが、実は近年まで長らく放置されていて、どこが熊野古道なのかわからないような状態になっていたという。それを現状まで回復させたのが地域住民だ。

「それまでの熊野古道は土や雑草、雑木に埋もれ荒れ果てていました。そこで、地元の住民が古道の復活のために、道を覆っていた土を掘って石畳を地表に出すなど、地域主体で熊野古道を蘇らせました。この活動が、01年の世界遺産暫定リストの登録につながったと思います」(三重県地域連携部東紀州振興課長の西口勲氏)

右肩上がりで観光客増 滞在型新ツアーを提案

伊勢路の見どころのひとつ、松本峠から望む七里御浜

こうした住民の努力の甲斐もあって04年、全長およそ170キロある伊勢路のうち、54.2キロが世界遺産に登録された。

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