2016年3月号
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ビジネスモデル分析の視点

連続起業家は「模倣」の名手 個々が得意な「方法」をパターン化

井上 達彦(早稲田大学商学学術院教授、早稲田大学産官学研究推進センターインキュベーション推進室長)

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「良い模倣」によって、新しいビジネスが生み出された事例は数多い。連続起業家(シリアルアントレプレナー)たちは、得意とする発想法を持っており、最初に模倣で成功すれば、次も模倣によってビジネスを立ち上げようとする。

優れた企業家は、事業を構想するときに、どのようにアイデアを発想するのだろうか? 私たちが研究室として取り組んできた課題である。

日本企業も高度成長期には米欧の企業をお手本にしていた。他者を上手にマネしている企業は強い。優れたものであれば何でも取り込む。その成功に倣って、進んだ世界からマネをしようとする企業が続く。マネに拍車がかかるのだ。さまざまな業界で競ってマネをしていたと言っても過言ではない。

「マネをしている時期の企業は競争力も強い。逆に他社がマネをしているとこぼす側は落ち目であることが多い」

こう語るのは、神戸大学名誉教授の加護野忠男である(『エコノミスト』2012年5月22日号)。

もっとも、日本企業がマネをしたのは先を行く同業のお手本ばかりではなかった。業界を代表する偉大なる企業は、思いもよらない「お手本」を見つけ出し、創造的な模倣を行った。ここでは、その原理と日本的応用力について検討していきたい。

出典:井上達彦著『模倣の経営学』(日経BP社)

「良い模倣」と「悪い模倣」

模倣というと「猿真似」と揶揄されるように、独自性から最もかけ離れた言葉のように感じられる。その一方で、古来、「学ぶ」の語源は「マネぶ」にあるとして、模倣は創造の母であるとも言われる。模倣というのは、創造性の源泉であると同時に、創造性からかけ離れた存在なのである。

たとえば、中国、韓国、そしてアジア新興国の企業の模倣行動を考えてほしい。彼らは、すさまじいスピードで模倣していて、模倣をベースにイノベーションを引き起こしている。迷いもなく模倣する企業というのは、まさに脅威にすら思える。しかしその一方で、そういった模倣が失敗して、上海の高速鉄道のような大惨事を引き起こすと、「模倣ばかりしているからうまくいかない」と侮られる。

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