官民の垣根を壊す「観光圏」の重要性

複数の自治体や民間事業者が連携し、魅力ある観光地づくりに取り組む「観光圏」。観光庁が進めるプロジェクトであり、現在10地域が認定されている。交流人口拡大に成果を上げる観光圏は多く、その取り組みに注目が集まっている。

佐世保・小値賀観光圏内の九十九島地区。島国・日本を象徴する景観を武器に、国内外から観光客を集めている

観光の原点に立ち返る

地方創生において、国が大きな期待を寄せるのが〈観光〉による地域づくりだ。新しい人の流れを作ることはもちろん、地域資源の発掘、再発見において観光は大きな役割を果たす。また、地方に仕事を作り、安心して働けるような場を作るという意味でも、観光業に対する期待は大きい。

これからの観光地域づくりにおいて、観光庁が掲げる理念は「住んでよし、訪れてよし」。観光庁観光地域振興課の川瀬弘之課長は「住民自体が自らの地域を良いと思わなければ、本当に良い観光地にはなりません」と話す。地域住民が自らの地域を愛し、誇りをもって暮らしているならば、おのずと観光客も訪れる。これが、観光の原点だ。

観光による地域づくりを考えた場合、単なる観光スポット、観光施設めぐりといった一過性の企画では、地域の活性化は困難だ。観光客がより長く地域に滞在し、土地の人や文化、歴史に触れ、何度も足を運ぶような仕掛け作りが重要となる。

しかし、今までの地域への観光客集めは、自治体はそれぞれの自治体、民間(ホテルやレジャー施設)はそれぞれの事業者が独自で行い、同じ地域でも自治体と民間はあまり連携していなかった。

そこで、国が観光地域づくりにおける新しい柱として育成しているのが「観光圏」である。

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