北海道スペースポート運営のSPACE COTAN、三井物産と基本合意書を締結

民間商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営するSPACE COTAN(北海道広尾郡大樹町、月刊事業構想2021年12月号参照)は、三井物産と、HOSPOを核とした「宇宙版シリコンバレー構想」に関する基本合意書(MOU)を締結した。2025年12月22日に発表した。

SPACE COTANは大樹町とともに、国内外の多様なロケットを高頻度で打ち上げられる宇宙港HOSPOの整備を進め、宇宙関連産業を北海道に集積させる「宇宙版シリコンバレー」の創出を目指している。今回のMOU締結により、雇用創出や観光促進、宇宙技術を活用した既存産業の効率化など、北海道および日本全体の社会課題解決に向けた連携を強化する。

三井物産は2024年1月、社会課題解決に向けた「三井物産共創基金」の支援対象企業としてSPACE COTANを採択。HOSPOでのサブオービタルロケット打上げ支援や実験射場の整備に対し、3カ年で1億円の助成を行っている。さらに2024年2月には、三井物産北海道支社と大樹町、SPACE COTANの3者で包括連携協定を締結し、宇宙関連産業の発展や宇宙港を中心としたまちづくりに取り組んできた。今回のMOUは、こうした連携をさらに発展させるものだ。

MOUにおける両社の役割は以下の通り。SPACE COTANは、HOSPOの開発・整備に必要な技術的・事業的な検討を進めるとともに、宇宙版シリコンバレー構想の実現に向けた技術・事業ロードマップ案を策定する。

三井物産は、他企業・機関との連携拡大・強化や、次段階の検討体制としてのコンソーシアム構築など、構想実現に向けた支援方策を検討。また、宇宙版シリコンバレーの利活用強化・拡大に関する支援に加え、SPACE COTANの事業検討に対してファイナンス観点からの助言も行う。

三井物産北海道支社長の佐伯光則氏は「商社としての総合力を発揮し、HOSPOの利活用拡大と持続的なエコシステムづくりに貢献する」とコメントしている。SPACE COTAN CEOの小田切義憲氏は「国内外で多様なプロジェクトを手掛ける三井物産の豊富な知見を借りながら、宇宙版シリコンバレーの創出を早期に実現し、北海道の地域活性化に貢献したい」と意気込みを語った。

HOSPOでは現在、人工衛星打上げに対応した射場「Launch Complex 1(LC1)」の整備を企業版ふるさと納税を活用して進めている。将来的には高頻度打上げ対応の「LC2」、大型・有人ロケット対応の「LCX」の整備や、高速2地点間輸送(P2P)受け入れに向けた3000m滑走路の新設も検討する。

2025年1月には宇宙戦略基金第一期に採択され、射場基盤技術の研究開発を推進。同年7月には台湾企業の日本法人「jtSPACE」が海外資本として国内初のサブオービタルロケット打上げをHOSPOで実施するなど、国際的な宇宙港としての活動を開始している。

##リンク
月刊事業構想2021年12月号
https://www.projectdesign.jp/articles/14c0570d-1ef5-4c57-b029-ce815a9ec51a