25年度生乳需給が前年度割れ ヨーグルト好調とバター不足
(※本記事は「JAcom 農業協同組合新聞」に2025年2月3日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
Jミルクは、2025年度生乳需給で約729万トン、前年度対比で99.2%の減産見通しを示した。離農が加速する都府県は「300万トン割れ」が目前の緊急事態となっている。用途別ではバター需要が強い半面、脱脂粉乳の過剰在庫が引き続き課題だ。農水省は輸入枠据え置きとしたが、6月にもバター追加輸入を判断するとの見方が出ている。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

24年度は3年ぶり増産
Jミルクが示した24年度生乳生産は、3年ぶりに増産となった。全国生乳生産の約6割を占める北海道が増産計画に転じたことが大きい。
◇2024年度生乳生産動向
・全国 7350(100.4%)
・北海道 4243(101.6%)
・都府県 3108(98.7%)
◇2025年度生乳生産見通し
・全国 7288(99.2%)
・北海道 4234(99.8%)
・都府県 3054(98.3%)
※単位千トン、カッコ内は前年度実績対比、24年度生産のうち25年1~3月は見通し
24年度は、北海道が前年の猛暑で牛の分娩時期が後ズレしたものの、8月以降は前年水準を上回って推移している。一方、都府県は7月以降、前年水準を下回っているが、年末から年度末に向けて減少幅が縮小してきた。このため、全国の生乳生産量は3年ぶりに前年度を超す見通し。
ただ、ここで注視するのは、月齢別乳用雌牛頭数の動き。特に生産の主力となる2~4歳(24~59カ月齢)。北海道は9月に35万頭近くをピークに、年度末に向かって縮小してきた。25年3月には34万3000頭にとどまると見込まれる。
25年度減産は搾乳牛減響く
25年度生乳生産はどうなるのか。Jミルクは需給見通し算定に当たり、全体需給を大きく左右する夏場の気温を、前年度に引き続き「猛暑」で試算した。
ただ、このところの「猛暑」から一転し「冷夏」などになれば、生乳需給は逆に増産と消費低迷で乳製品過剰が一挙に深刻化する。気象学者のなかには猛暑の一方で冷夏の備えを警告する声もある。
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