小糸製作所 月面自動車用ライトの開発へトヨタと契約を締結
小糸製作所(東京都品川区)は2025年10月15日、月面での有人探査活動に必要な有人与圧ローバーの船外照明の技術開発に関する契約をトヨタ自動車と締結したと発表した。有人与圧ローバーはトヨタ自動車が宇宙航空研究開発機構(JAXA)と開発を進めているもので、愛称は「ルナクルーザー」。
小糸製作所は、自動車産業や航空機産業で培った技術力を活かし、過酷な月面環境にも適応する耐久性と信頼性の高い照明を開発する。月面は昼夜が約14日ごとに入れ替わるため、継続的な探査活動には船外照明による視界確保が必須となる。
今回の開発の重点項目は2つ。1つ目は極限温度環境への対応だ。月面は昼夜の寒暖差が200度以上になり、大気がほぼ存在しないため対流による放熱ができない。そこで極低温環境下でも安定して動作する保温ヒータ、真空に対応する放熱構造、冗長性を備えた複数光源など、高い信頼性を確保する技術開発に取り組む。
2つ目は月面を覆う砂礫「レゴリス」への対応だ。粒子が非常に細かく形状も複雑な砂礫に長期間晒されても機器類への影響がない、高い防塵・密閉構造の開発を進める(下図参照)。
小糸製作所の狙いは、月面探査用照明の開発により、スペースモビリティ分野への技術展開を図ること。より安全で持続可能な月面探査活動を支える役割を担っていく。