価格差別が進化する中、低所得層がその代償を支払わされている
※本記事は『THE CONVERSATION』に2025年4月17日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています。

買い物をする場所を自由に選べない消費者にとって、テクノロジーの進歩――特にAIと個人情報の過剰な収集――は、価格差別やインフレ、そして低品質商品のリスクを高める要因となっている。とりわけ弱い立場の消費者がその影響を最も強く受けている。
価格差別の一種である「柔軟性ベースの価格設定」とは、消費者がその場で購入せずに離れてしまう可能性、すなわち「逃げやすさ」に応じて、同じ商品やサービスに異なる価格を設定する手法である。
消費者が他の選択肢を容易に見つけられる状況であれば、主導権は消費者側にある。しかし現在では、AIツールにより企業側が消費者の柔軟性を高度に見極められるようになってきており、こうした動きには倫理的な懸念がつきまとう。
動的価格設定によって、選択肢の少ない消費者ほど搾取される構造が生まれている。
たとえば、ダラーストア(低価格商品を扱う店舗)は、しばしば小規模市場にある低所得コミュニティをターゲットにしている。顧客に他の選択肢がほとんどないと判断すれば、価格を抑えるインセンティブは低下し、商品の品質も下がる可能性がある。
価格差別の経済的影響
我々の最近の研究では、柔軟性ベースの価格差別が、競争市場において販売者の利益や消費者福祉にどのような影響を及ぼすのかを経済モデルに基づいて検証した。社会経済的な背景の異なる消費者に対して、価格差別がどう作用するかを分析したのである。
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