ClaudeのAnthropic社 東京オフィスを開設、AISIと協力へ
AI開発企業の米Anthropic社は2025年10月29日、東京オフィスを開設したと発表した。アジア太平洋地域にオフィスを構えるのは今回が初。同社のCEOダリオ・アモデイ氏は高市総理大臣と会談し、AI評価手法に関する協力のため、AIセーフティ・インスティテュート(AISI、月刊事業構想2025年4月号参照)と覚書を締結した。広島AIプロセスのフレンズグループへの参加も表明し、日本市場での本格展開を開始する。
Anthropic社とAISIは、AI評価の科学の進歩とAIの動向モニタリングの2分野で協力する。AIモデルの能力・限界・潜在的リスクの評価手法について情報交換とベストプラクティスの共有を行い、国際的に採用可能な共通基準の確立を目指す。同社は既に米国標準技術研究所(NIST)や英国AIセキュリティ・インスティテュートとも協力関係を構築しており、国際的なAI安全性評価の枠組み構築に積極的に取り組んでいる。
日本市場では、同社の主力AIアシスタント「Claude」の企業への導入が急速に進んでいる。楽天は自律的なコーディングプロジェクトで開発者の生産性を向上させ、野村総合研究所は文書処理時間を数時間から数分に短縮した。パナソニックは事業運営と消費者向けアプリケーションの両方にClaudeを適用している。Anthropic社のAI利用指数によると、日本は世界全体で上位25%にランクイン。人間の判断の代替ではなく能力を増強する協働ツールとしてAIを活用するアプローチが特徴的だという。
Anthropic社は2021年に設立されたAI企業。信頼性が高く制御可能なAIシステムの構築を目指している。アジア太平洋地域での収益は過去1年間で10倍以上に成長。今回の東京オフィス開設と日本の文化機関・企業とのパートナーシップ拡大により、日本市場でのさらなる事業展開を加速させる方針だ。