Spiberの循環型繊維製品開発プロジェクトにKeringなどが新たに参画
構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を開発するSpiber(山形県鶴岡市)は2024年1月15日、同社が進めるバイオスフィア・サーキュレーション(生物圏循環)システムの研究開発プロジェクトに、ファッションコングロマリット・ケリングの研究組織であるKering Material Innovation Lab (MIL)、米国のアパレルメーカーEILEEN FISHER 社、スコットランドの毛織物メーカーJohnstons of Elgin社、繊維染料大手のシンガポールDyStar社が新たに参画すると発表した。これら企業の参画は、2023年6月に参画を開始したゴールドウインと英PANGAIA社に続くものとなる。
同プロジェクトでは、繊維製品や農業の廃棄物を、微生物発酵によって新たなタンパク質素材を産業規模で生産する際の原料に転換し、完全循環型の繊維製品を実現することを目指している。繊維産業の「取る-作る-使う-捨てる」という直線型モデルから「取る-作る-使う-再利用する」という循環型モデルへの移行に向け、研究開発とともに、業界全体での導入の促進を行っていく。
参画各社からは生地サンプルの提供などの多角的サポートがあり、Spiberは提供された素材や他の素材をラボレベルで試験。セルロースやタンパク質ベースの素材から糖やアミノ酸など発酵プロセスで使用できる栄養素への変換にあたり、仕上げ剤や着色剤などの加工用化学物質がどのような影響を与えるかを分析する。試験結果は蓄積してデータベース化し、加工用化学物質と組み合わせたさまざまな素材が、発酵のための栄養素に変換される際の効率性などを明らかにしていく予定。同データベースは、業界が循環型製品を設計する際に参照でき、将来的にはSpiberの循環型ソリューションに適合する製品の設計にも使用できるようになることを想定している。
同プロジェクトへの参画が発表された、2024年1月11日開催の「Biofabricate Paris Summit」でのパネルセッション
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