狭山茶から国産紅茶、高校生のアイデアを商品化 キリンビバレッジらが協力

(※本記事は「食品新聞」に2024年11月23日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

埼玉県立狭山工業高等学校電子機械科は同校初の取り組みとして11月16日、狭山茶を発酵させるなどしてつくられた国産紅茶「狭紅茶(さこうちゃ)」をヤオコー北入曽店(埼玉県狭山市)の特設売場で数量限定販売した。

「さやまかおり」と「おくはるか」の2種類のティーバッグ商品を計300個、「おくはるか」30gのリーフ商品100個を用意。17日にも特設売場で発売された。包装は、原材料の茶葉を生産する横田園(埼玉県狭山市)で行われた。

「狭紅茶(さこうちゃ)」。「さやまかおり」「おくはるか」の2種類のティーバッグ商品と「おくはるか」のリーフ商品
「狭紅茶(さこうちゃ)」。「さやまかおり」「おくはるか」の2種類のティーバッグ商品と「おくはるか」のリーフ商品

商品化と販売にはキリンビバレッジ首都圏統括本部とヤオコー北入曽店が協力。
地元住民から支持が得られやすい地産品の打ち出しで地域密着を図るのが共通の狙いとみられる。キリンビバレッジは、紅茶市場の活性化や流通企業との関係強化も見込む。

「午後の紅茶」で紅茶飲料市場のトップシェアを握るものの、日本ではリーフを含めた紅茶を日常的に飲まれる生活者が少なく紅茶市場そのものの活性化が課題となっている。

取材に応じたキリンビバレッジの高井美奈首都圏統括本部ブランド推進部部長は「紅茶を飲まれる方が増えてくれば紅茶市場が活性化する。国産紅茶があることを知っていただくのも凄く良いこと。今回の取り組みでヤオコーさまとの関係も深まり、今後、店頭にも『狭紅茶』を並べていただければ、また1つつないだことにもなる」と語る。

「狭紅茶」のアイデアは2017年、狭山工業高等学校電子機械科の課題研究で交わされた冗談から発案された。
課題研究は、3年生がこれまで学んできたことを活かして興味があるテーマを選び1年かけて製作・研究・発表するものとなる。

「テーマを設定する際、お茶づくりからスタートした。当校は狭工(さこう)と呼ばれていたことから、工業の“工”に“糸”をつけて“紅”になるといった冗談が交わされ、狭紅茶(さこうちゃ)のアイデアが浮上した」と振り返るのは原嶌茂樹教諭。原嶌教諭は、電子機械科を受け持ち、狭紅茶プロジェクトリーダーを務める。

左から原嶌教諭、豊川洋平さん(狭山工業高等学校電子機械科3年生)、鈴木成龍さん(同)、ジャバ・ツルジさん(同)、キリンビバレッジの高井氏、川原世生さん(同)
左から原嶌教諭、豊川洋平さん(狭山工業高等学校電子機械科3年生)、鈴木成龍さん(同)、ジャバ・ツルジさん(同)、キリンビバレッジの高井氏、川原世生さん(同)

アイデアの具現化には、横田園の協力を得て、横田園の茶畑で狭山茶を摘採するところから始める。

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