経常黒字、上半期で過去最大の17兆4292億円 半導体と自動車の輸出が牽引
財務省は2026年8月10日、2026年上半期(1〜6月)の国際収支状況の速報を公表した。海外とのモノ・サービスの取引と投資収益などを合わせた経常収支は17兆4292億円の黒字となり、前年同期を3兆1985億円、率にして22.5%上回った。財務省の時系列データで比較できる1996年以降の上半期では最大の黒字額である。押し上げたのは、5年ぶりに黒字へ転じた貿易収支だった。
上半期の経常黒字は2024年に13兆4334億円、2025年に14兆2307億円と積み上がってきたが、2026年はその水準をさらに3兆円あまり上回った。ただし半期単位で見れば、2025年下半期の18兆43億円のほうが大きい。今回の「過去最大」は、あくまで上半期同士を比べた場合の記録である。
貿易収支は5年ぶりの黒字
記録更新の起点となったのが貿易収支だ。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は7421億円の黒字で、1兆4636億円の赤字だった前年同期から2兆2057億円改善した。上半期の貿易収支が黒字になるのは2021年上半期以来、5年ぶりとなる。輸出は59兆1929億円で前年同期比12.8%増、輸入は58兆4508億円で同8.4%増となり、輸出の伸びが輸入の伸びを上回った。この改善を受けて、貿易収支とサービス収支を合わせた貿易・サービス収支の赤字も1兆802億円まで縮み、赤字幅は1兆9619億円小さくなった。
輸出を押し上げた半導体と自動車
どの品目が伸びたかは、財務省関税局が7月30日に公表した令和8年上半期分貿易統計(通関ベース)に示されている。同統計の輸出額は確報値で60兆6581億円、前年同期比13.7%増だった。主な増加品目は半導体等電子部品の1兆2052億円増(41.1%増)、自動車の6165億円増(7.1%増、数量は1.0%増)、非鉄金属の5436億円増(40.2%増、数量は5.0%減)である。地域別では対アジアが4兆8244億円増(16.8%増)、西欧が1兆1403億円増(19.2%増)と伸びた。
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輸入額は9桁速報値で61兆6788億円、同10.7%増となった。増えた品目は半導体等電子部品の9227億円増(46.5%増)、非鉄金属の6540億円増(49.2%増、数量は7.5%減)、通信機の4125億円増(19.6%増)で、半導体等電子部品は輸出入の双方で最上位に並ぶ。地域別では対アジアが4兆6286億円増(17.1%増)、北米が1兆4259億円増(20.0%増)だった。非鉄金属は輸出入とも数量が前年同期を下回る一方、金額は4割以上増えている。
サービス収支は赤字幅が拡大
貿易収支が改善した半面、旅行や輸送、知的財産権使用料などを含むサービス収支は1兆8223億円の赤字となり、赤字幅が2438億円広がった。財務省は旅行収支が黒字幅を縮小したことなどを要因に挙げている。参考として示された日本政府観光局(JNTO)の統計では、上半期の訪日外国人旅行者数が2108万4800人で前年同期比2.0%減、出国日本人数が694万4600人で同5.1%増だった。
海外への投資から得た利子や配当などを示す第一次所得収支は20兆4914億円の黒字で、前年同期を704億円上回り、こちらも上半期としては過去最高となった。伸び率こそ0.3%にとどまるが、経常黒字17兆4292億円を上回る規模を単独で稼いでおり、日本の対外収支を支える柱であることに変わりはない。財務省はその他投資収益が黒字幅を広げたことなどを理由としている。仕送りや無償援助などを含む第二次所得収支は1兆9821億円の赤字だったが、赤字幅は1兆1662億円縮小した。
金融収支は18兆4893億円の資産増
金融収支は純資産が18兆4893億円増加し、前期にあたる2025年下半期の15兆3371億円を上回った。財務省は直接投資で純資産が増えたことなどを要因としている。項目別では直接投資が11兆6460億円、その他投資が30兆457億円、金融派生商品が5兆4489億円の純資産増となる一方、証券投資は18兆7543億円、外貨準備は9兆8969億円の純資産減だった。
内訳を居住者と非居住者に分けて見ると、日本から海外への投資では、本邦企業による海外企業の増資引受けなどがみられた対外直接投資が15兆9083億円の資産増となった。対外株式・投資ファンド持分投資も投資信託委託会社などの買い越しで9504億円の資産増、対外中長期債投資は銀行等(銀行勘定)などの売り越しで4兆2343億円の資産減である。海外から日本への投資では、国債等が買い越しとなった対内中長期債投資が13兆5193億円の負債増、電気機器などの業種で買い越しとなった対内株式・投資ファンド持分投資が7兆7593億円の負債増、対内直接投資が4兆2623億円の負債増となった。債券と株式のいずれでも非居住者の買い越しが確認できる。
円は対ドルで6.5%の円安
上半期の為替相場は、ドル・円がインターバンク直物相場・東京市場中心値の期中平均で1米ドル158.24円となり、前年同期の148.54円から6.5%の円安が進んだ。ユーロ・円は東京市場17時現在レートの期中平均で1ユーロ184.53円と、前年同期の162.15円から13.8%の円安である。石油連盟の資料をもとに財務省が算出した原油価格は、ドルベースが1バレル82.17米ドルで前年同期比6.8%の上昇、円ベースが1キロリットル8万1498円で同12.4%の上昇となり、円建ての上昇率がドル建てを上回った。
もっとも、半期の記録がそのまま足元の勢いを意味するわけではない。同じ8月10日に公表された6月分の速報では、経常収支が923億円の赤字に転じた。第一次所得収支の黒字幅が1兆648億円縮小したことなどが響き、貿易収支も1352億円の赤字に転化している。上半期を通した記録更新と、6月単月の反転をあわせて読む必要がある。