スコットランドの空き家問題、再活用プロジェクトで1万件に移住者 住宅不足対策にも
新しい家を一から建てることなく、住宅を生み出すことができたらどうだろうか?住宅不足が深刻化するスコットランドでは、放置された空き家に新たな命を吹き込む取り組みが始まっている。(※本記事は『reason to be cheerful』に2024年10月3日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
スコットランドの孤島には、かつて漁師が住んでいたが、水も電気もなく、窓さえない廃屋があり、羊が住みついていた。元兵士でビジネスマンのロバート・タイ氏は、離婚で経済的に厳しい状況に陥った末、この家しか買うことができなかった。
2000年代、当時の妻と訪れていたスコットランドのルイス島で見た、風雨に耐えながらも人の手が入らず放置されている石造りの歴史的な建物に心を奪われたタイ氏にとって、離婚をきっかけにこの地に安息の場を求めるのは自然な流れであった。
タイ氏は、2004年に初めて目にしたその荒廃した物件を購入し改装することを決意し、2021年には所有者と交渉の末、取り壊して新築する予定だった寝室が4つもある建物を手に入れることができた。これが彼の新たな人生の幕開けとなった。
「これが再び自分の足で立ち上がる唯一の方法だった」とタイ氏は語る。
スコットランド政府と英国の住宅・ホームレス支援団体「シェルター(Shelter)」が共同運営する「スコットランド空き家活用パートナーシップ(SEHP)」を通じて、タイ氏は改修資材にかかった費用の一部を税還付として受け取ることができた。合計7万5000ポンド(約1590万円)を費やした工事費のうち、1万2000ポンド(約250万円)が還付された。
建築経験のなかったタイ氏だが、電気や水道の配線を復旧し、梁を交換し、羊の糞で汚れたカーペットを剥がし、破損した煙突を撤去し、屋根を修理し、台所と浴室を拡張するために壁を取り払うなど、大がかりな改装を行った。
新しい窓の設置は専門業者が手伝い、地元の建築家である友人からもアドバイスを受けた。さらに、タイ氏は周囲の17エーカーの農地にフェンスや門を新設し、7000本の木を植え、さらに3000本の植樹を計画している。自家栽培用の野菜を育てるためにビニールハウスも建てた。
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