AEA2022 優勝は慶大医学部発の眼科スマートデバイス企業

アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)運営委員会は、2022年10月26日、27日、イノベーションアワード「AEA2022」をオンラインで開催した。AEAの開催は今回が11回目となる。

2012年より毎年開催しているアワードで、今回は「ヘルスケア」「ワーク&ライフスタイル」「サステナビリティ」という3つのテーマに関連したソリューションを持つ、アジア各国・地域の技術系スタートアップが参加した。参加する企業は、PoC(Proof of Concept)を終えており、具体的な顧客に対しプロトタイプ、製品サンプル、モックアップを用いて、協業または製品の販売などで協業できることが条件となっている。

今年の優勝企業にはOUI(東京都新宿区)が選ばれた。慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業で、創業者は現役の眼科医。スマートフォンのカメラと光源を利用して、眼科の細隙灯顕微鏡と同等の眼科診断を可能にする医療機器「Smart Eye Camera (SEC) 」を開発した。途上国やへき地で眼科医療にアクセスできないために失明する人を減らすことを目指す。OUIはライフサイエンス賞、IP Bridge賞も受賞した。

準優勝は、シンガポールのNervotec社。rPPG(リモートフォトプレチスモグラフィー)という、血流による肌の色の変化を解析することで心拍数を推定する技術を用いて、非接触の遠隔医療の提供を目指す。3位はニュージーランドLiquium社で、新触媒を用いて燃料用クリーンアンモニアを低コスト・大量生産する製造技術を持つ。

ソーシャルビジネス賞は、ソーシャルテック・ジャパン(福岡市)が受賞した。創業者はバングラディシュ出身の九州大学の研究者。ポータブル・ヘルス・クリニックシステムという遠隔医療システムとAIを用いたトリアージにより、発展途上国の無医村でも健康診断が受けられ、健康を維持できるようにしつつ、農村に「ヘルスワーカー」という新しい仕事を作ろうとしている。

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