バイオ炭を有機ゴミから作る方法 炭素貯留力、保水力も優れた土壌改良材
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月4日付で掲載された記事を許可を得て掲載しています。)
気候の変化に伴い、オーストラリア南部の大部分は乾燥化が進むと予測されている。一方で、極端な豪雨も増加している。
農家にとって、こうした変化は大きなリスクをもたらす。では、既に避けられない変化にどう対処すればよいのだろうか。適応策のひとつは、水を蒸発させたり水路に流れ込ませるのではなく、スポンジ状の柔らかい土壌に染み込ませることである。
ここで登場するのがバイオ炭だ。多くの人が、この炭に似た物質が土壌中の炭素を貯留させるために使われることを知っているだろう。しかし、バイオ炭にはもう1つ非常に有用な特性がある。それは、多くの場合非常に多孔質であることだ。土にバイオ炭を加えると、雨や、河川や水路から水を引くかんがいで得た水を蓄え、植物が吸い上げるまでその水を蓄えておくことができる。さらに、バイオ炭の多孔質な性質により微生物の活動が活発になり、これが土壌の栄養分を解き放ち、過剰利用によって劣化した土壌を回復させる効果もある。
2024年には、オーストラリア・ニュージーランドバイオ炭産業協会(ANZBIG)でも、干ばつからの回復力を高め、作物の収量を最大化し、病害抵抗力を向上させるバイオ炭の利用方法をまとめた農家向けのガイドが発表されている。
では、このバイオ炭を環境に配慮しつつ大規模生産するにはどうすればよいだろうか。我々の新しい研究では、その解決策のひとつとして、庭から出る雑草や落ち葉、せん定した枝や葉といったごみや、そのほかの適切な資源を混ぜ合わせて利用する方法を発見した。

バイオ炭 ゴミから作れる、燃やすよりCO2排出が少ない、保水力が高い
バイオ炭は伝統的な木炭に似ている。しかし、木炭は木材から作られ、燃料として使用される。木炭の需要は、一部の国では森林伐採を引き起こしている。
バイオ炭は、食品廃棄物から廃水のバイオソリッド(有効利用が可能な形に処理された下水汚泥)、林業での廃棄物(伐採後の枝や木材の破片など)、または小麦わらやナッツの硬い殻といった植物残渣(残りかす)まで、さまざまな有機物から作ることができる。これは、低酸素状態で有機物を加熱する「熱分解」と呼ばれるプロセスで作られる。
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