京都市内での情報発信の拠点づくりをきっかけに、人脈と新規事業の輪が広がる

(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2024年11月27日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

社是は、もう半歩

株式会社キャステムは広島県福山市に所在するロストワックス精密鋳造(ロウを利用した鋳造方法の一種)や射出成形技術により鉄道・工作機械など様々な精密部品などを製造・販売している企業です。

複雑形状の精密鋳造が可能なロストワックスを得意とするキャステム
複雑形状の精密鋳造が可能なロストワックスを得意とするキャステム

同社の社是は「もう半歩」。常にもう半歩という意識で、顧客・世の中にさらに良いものを提供すべく、目標を高くおき、失敗を恐れぬ勇気を持って行動することを大切にしています。

「紙ヒコーキ事業」「イチゴファーム」など事業部門はユニークかつ多岐にわたる
「紙ヒコーキ事業」「イチゴファーム」など事業部門はユニークかつ多岐にわたる

そんな同社は、既存の鋳造技術からもう半歩、脱皮を図るべく2018年、3DプリンターやCTスキャンといったデジタル技術を中心に新事業を進める新拠点「京都LiQ(りきゅう)※」を立ち上げました。

※LiQは、「Lead Qualification(顕在化した見込み顧客の中から有望な見込み客の選別)」をinnovativeに行うという意味を込めている。京都に縁のある「千利休」ともかけている。

アナログとデジタルの融合による付加価値創出を目指し、京都LiQで地域の人々にデジタル技術に触れてもらう取り組みを積極的に行ってきた石井さんにオープンファクトリーの魅力を伺いました。

お話を伺った石井さん
お話を伺った石井さん

積極的な情報発信で手繰り寄せた新たな出会い

京都には、伝統的な産業が多く残っており、それらが最新技術の3Dプリンターと結び付けば、今までにない面白い物がうまれるのでは、という狙いでスタートした京都LiQ。

まずは拠点を知ってもらい、来社を増やすことを目標に、同社の強みである高い鋳造技術を活かして製造したユニークなアイテムを路上から見えるスペースに配置しました。

同社の技術の結晶ともいえる鋳物のアイテムが並ぶ
同社の技術の結晶ともいえる鋳物のアイテムが並ぶ
某有名漫画のマスクもお出迎え
某有名漫画のマスクもお出迎え

また、メディアを活用したプロモーションやYouTubeチャンネルの立ち上げ、SNSでの情報発信を実施。口コミで評判が広がり、年間500件もの見学者が訪れるようになりました。

来場者は鋳造協会や大学教授、知り合いの中小企業の社長さん、個人の見学者まで様々です。

企業だけではなく個人の問い合わせも増え、鉄道模型の制作依頼など、新たな受注に繋がったといいます。

DESIGN WEEK KYOTOへの参加

こうした新たな繋がりの中で同社がチャレンジしたのが、京都府内の複数の地域で開催されている地域一体型オープンファクトリー「DESIGN WEEK KYOTO」への参加です。

DESIGN WEEK KYOTOでは、多種多様な企業と交流を繰り返すことで、京都の歴史に触れ、同社では思いも付かなかった新たな発想が生まれてきました。

中でも、ユニークなコラボが、京都市内で仏像の彫刻や修繕を行う土御門仏所と共同で製作した「ドローン仏」です。

これは、3Dプリンターで制作した仏像をドローンに乗せて飛ばすことで、臨終に際して阿弥陀如来がお迎えに来てくれる「来迎」を表現したものです。

様々なプロモーション活動や、DESIGN WEEK KYOTOを通じ、感度の高い人々が行き交い、引き寄せ会うハブとなった京都LiQ。

知り合った大学との連携により医療機器の製造を始めるなど、新規事業も着実に進行中です。

思ってもいないビジネスチャンスが舞い込む、それがオープンファクトリー

オープンファクトリーの魅力を伺うと、

「オープンファクトリーは、自社の技術をたくさんの人に見てもらう機会作りとして良い手段です。」

「毎日が展示会のような職場環境を創り出すことで自社の製品、技術をより魅力的に見せることが可能になり、見に来られた方々の様々な意見を取り入れる事によって、新たなアイデアや改善点が見つかり成長に繋がりました。」

「また、同業種だけではなく異業種も含めた多角的な交流を図ることで従来にはない繋がりを作ることができ、思ってもいないビジネスチャンスの可能性が生まれました。 」

と語ってくださった石井さん。

デジタルキャストから医療やアグリ分野まで多角的に事業展開をする同社の中で、オープンファクトリーで生まれた繋がりや発想を推進力に、どう半歩進むのか、京都LiQそしてキャステムのチャレンジに今後も注目です。

インタビューに協力いただいた京都LiQのみなさん
インタビューに協力いただいた京都LiQのみなさん

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近畿経済産業局 公式note