ICEF2023 AIによる気候変動緩和へロードマップ作成
経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)は、「東京GXウィーク」の一環として国際イベント「Innovation for Cool Earth Forum第10回年次総会(ICEF2023 )」を2023年10月4日、5日に開催した。オンラインと会場のハイブリッドイベントとして実施し、全15セッションに79の国・地域から1700人が参加した。
ICEFでは、長期的な視点でネット・ゼロ・エミッションをけん引することが期待される技術に関するロードマップを2015年から作成してきた。これまで取り上げた技術は、二酸化炭素利用や、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)、バイオマス炭素除去・貯蔵(BiCRS)やブルーカーボンなどだ。
ICEF2023では、人工知能(AI)と気候変動緩和をテーマにロードマップを検討し、AIが貢献するための道筋を案(ドラフト)としてまとめた。10月末までこのドラフトに対するパブリックコメントを募り、その意見の反映・修正ののち、2023年12月にドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締結国会議(COP28)で正式版を公表予定だ。その内容は、温室効果ガス排出モニタリングや電力の効率的な発電と使用、材料開発や輸送などにおけるAI活用の可能性を探るとともに、AIによる電力使用量の増大などの課題も検討したもの。
2014年に設立のICEFは、2023年に10周年を迎えた。この間、技術革新と社会革新の両方が気候変動への対応に不可欠である、というメッセージを一貫して発信してきた。今回の年次総会での議論を取りまとめたステートメントでは、過去を振り返るとともに、これからの10年を展望している。ICEF設立からこれまでに、2015年のパリ協定、2018年のIPCC「1.5℃に関する特別報告」と、国や地域が21世紀半ばには温室効果ガス排出実質ゼロを目指す機運は高まっている。他方、実際の排出量とも苦行の間には大きな隔たりがあることから、加速度的な進展が必要とされている。
ICEFでは議論を活性化するために常に新しい話題を取り入れようとしており、今回はAIの他、核融合技術や新興国と先進国の連携などがセッションで話し合われた。今後取り上げるテーマの候補としては、プラネタリー・バウンダリー(人間の活動できる限界点)の概念の活用、ジオエンジニアリングなどが挙がっている。また今回の会議の企画にあたり、若者と女性の意見を議論に取り入れるために、セッション登壇者の男女比を同等にすることや、若きイノベーターが登壇するセッションの企画、若年の講演者の積極的な登壇を実施したという。
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